国会中継とNHKニュース

 「戦争法案」の国会審議が始まった。日本という国のありかたを変える、きわめて重要な法案であるので、今回ばかりは、NHK国会中継を真剣に見ている。

野党側からの質問に対し、政府側(安倍首相、中谷防衛大臣、岸田外務大臣)は、着物の下の鎧(よろい)を隠す、つまり、「建て前」ばかり繰り返して、「本音」を語らないよう、逃げるのに必死である。答弁の矛盾を突かれると、まともな回答ができないから、オウム返しに、「建て前」ばかり、繰り返し、時間稼ぎをする。安倍首相にいたっては、質問をされていないことまで、長々と自説を述べる。

(例1)政府見解・・・自衛隊は後方支援に限定する。しかも、万一攻撃された場合は、隊長の判断で撤収等するので、自衛隊員が戦闘に巻き込まれることはない。

→「後方支援」の世界共通概念は「兵站」(Logistics)。兵站は武器弾薬、食糧等を供給・補充する基地であり、戦争における重要拠点。兵站の一部を担うということは、同一指揮下で動くことであり、日本だけが勝手に撤収することは許されない。

(例2)相手から攻撃を受け、「自己保存型」(自己防衛)で武器を使用することは、「武力行使」や、「戦闘」にあたらない。

→言葉の遊びであり、こんな解釈は国際的に通用しない。武器を使うことと、武力行使は同じである。戦闘は防衛と攻撃が混然一体である。

(例3)国際法で禁止されている先制攻撃をした国を支援することはしない。

→アメリカは、これまで、イラクなどで何度も違法な先制攻撃をしている。しかし、日本政府は、これを違法とは認めない。

・・・・・・

今回の「戦争法案」は、アメリカがおこす戦争の一部を肩代わりしてほしいという要求を受け容れるものである。だから、日本の安全とは全く関係のない地球の裏側でアメリカが起こした戦争に対してでも、「新3要件」(「日本の存立が脅かされる事態・・・等」)に当てはまれば、自衛隊を派遣するという。集団的自衛権の従来解釈を変更し、また、言葉遊びによって、その無理な「こじつけ」を正当化する。その矛盾が国家中継により明白になっている。

この国会中継を行なっているのはNHK。これぞ公共放送としての役割、さすがNHKである。しかし、NHKニュースはいただけない。公共放送とはかけ離れた、政府だけの広報になっているのが露骨である。

NHKニュースは討論のうち、政府の「建て前」答弁にかかわる部分しか流さない。一番重要な、法案の矛盾が指摘された部分は、カットされる。

だから、ニュースだけを見る人には、安倍首相が自論を述べている姿が目に入り、その抽象的な言葉に、納得させられてしまう。中継全体を見れば、法案の問題点や矛盾が明白であるにもかかわらず、政府見解が正しいように映る。

ニュースはおそろしい。
平日の昼間だから国会中継を見る人は多くはない。しかし、夜や朝のニュースが多くの人が茶の間で見る。

情報操作をNHKが意図的にやっている。ニュースは「事実」は流しても、「真実」を報道するものではないことを、肝に銘じなければならない。

国会中継を通して初めて知った「真実」がある。
イラク戦争において、日本は自衛隊をバクダット近郊の「非戦闘地域」サマーワに派遣した。幸運にも、現地では自衛隊員の中に死者を出さずにすんだ。しかし、帰国後、現在に至るまでに、派遣された隊員のうち54人が自殺をしているということ。死への恐怖にさらされた、心的外傷、ストレスによるものであろう。イラク戦争で自衛隊は大きな犠牲者を出しているのである。

この指摘に対し、中谷防衛大臣は、クールダウン等の必要な措置を講じているとサラリと答えた。戦争だから犠牲者がでるのは当たり前と言いたげであった。

高知憲法アクション

 戦後70年、日本は平和憲法のもと、「戦争はしない国」を看板としてきた。これを「戦争をしてもよい国」に変えようとする 「安保法案」(戦争法案)がきのう国会審議入りした。日本という国のあり方が360度変わる。この法案は、絶対に成立させてはならないと思う。

 こうした情勢を受けて、このほど、「戦争をさせない! 戦争に行かない! 高知憲法アクション」(略称・高知憲法アクション)を結成した。私も呼びかけ人(現在40人)の1人に加わっている。

以下は、声明文(アピール)です。
みなさんも一緒に立ちあがりましょう。 



    平和憲法を踏みにじる戦争法案
    に反対する広範な行動を呼びかけます

安倍自公政権は、5月14日の臨時閣議で、憲法違反の「平和安全法制整備法案」(戦争法案)を決定し、翌15日、国会に上程しています。
法案は、新法の自衛隊海外派兵の恒久法「国際平和支援法案」と武力攻撃事態法などの「平和安全法整備法案」と称する10の「改正」法案であり、政府は、国民の反発を意識して、急きょ「平和安全法制」という言葉を使用して、国民の批判をかわそうとしていますが、その内実は、日本を「戦争をする国」に変えてしまう「戦争法案」に他なりません。
昨年7月1日の閣議決定は、「曲がりなりにも最後の歯止め」であった「専守防衛」を放棄し、「集団的自衛権行使の合憲化」を図ろうとするものでした。この閣議決定は、歴代内閣の憲法解釈を一内閣の解釈でひっくり返すものであり、憲法の存立根拠である立憲主義を否定するものでした。
今回の戦争法案提案に関しても、国会に上程もしていない段階で、法案の内容を盛り込んだ「日米ガイドラインの再改定」を行い、また、安倍首相は米議会で「この夏までに成就させます」と約束しています。しかも、これらの法案は、日米安保条約自身の範囲も超えるものであり、本来、安保条約の改定をも必要とするものです。これらのことは、国会軽視というばかりでなく、この国の民主主義のあり方すらも否定するものです。
 日本の平和主義・憲法9条は最大の危機です。このままでは国の形が変わってしまいます。この法案の本質は、「集団的自衛権の合憲化」であり、戦後の国是であった、「平和主義」を基本とする憲法9条の破壊であり、具体的には、米国の軍事戦略の下、自衛隊が世界中で戦争に参加する国になるということです。
国会勢力は、圧倒的に自公優位であり、野党にも賛成する会派があります。これを止められるのは、もはや、私たち国民の立ち上がりしかありません。私たちの訴えに賛同いただき、ともに行動いただくことを広く県民の皆さんに訴えます。

2015年5月27日

戦争させない!戦争に行かない!高知憲法アクション

脱原発 宝塚市へ

 5月10日、「脱原発をめざす首長会議」総会が兵庫県宝塚市で開かれ、参加してきた。昨年の神奈川県小田原市での総会に続いて、2回目の参加。

いつも大阪に行く時は、車でその日のうちに着くようにあわただしく出かけるが、今回はゆったり旅にしたいと思い、前々日、家を出て、途中淡路島で1泊。淡路島で高速を降りるのははじめて。島はたまねぎの産地。海岸線をノンビリ走り、ちょうど出ごろの新たまねぎを買いこんだ。淡路島は台地と海岸部に二分された島だった。

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翌日午後、宝塚市に着いた。宝塚といえば宝塚劇場。大阪には長くいたが、劇場を訪ねるのは、中学校の修学旅行以来。その時は舞台を見たが、今回はそのつもりもなし。せっかくだから雰囲気だけでもと、建物の中の様子をのぞいた。さすがに女性ファンばかり。武庫川べりのテラスは、中年女性のグループがわんさといた。

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隣接して、手塚治虫記念館があった。そういえば、手塚が少年時代、宝塚で過したことは聞いていた。戦争をはさんで、ここでの体験が、手塚アニメの原点になっている。その原点とは平和。館の入り口には、宇宙と人類の平和の象徴「火の鳥」モニュメントが建っていた。

躊躇なく入館した。手塚の年譜、鉄腕アトムの原画など、充実した展示。ちょうど特別展「アドルフに告ぐ」をやっていた。ナチス、ヒトラー時代を舞台に、「正義」という名の正体をえぐった作品。安倍政権が、「積極的平和主義」の名のもとに日本が再び戦争ができる国にしようしているいま、ピッタリの企画であった。戦争は常に「正義」の旗をかかげておこなわれる。

この手塚治虫記念館は宝塚市が設立し、虫プロダクションに管理を委託。宝塚市は非核平和都市宣言をしている。そのシンボルがこの記念館である。行政が積極的に手塚ワールドを広めている。すばらしい。

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その先頭をきっているのが中川智子市長。中川市長は、脱原発をめざす首長会議メンバーであり、今年の同総会をここで開くのも中川市長の肝入りによるものである。

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その夜は会議参加者懇親会があり、宝塚に1泊。17日当日午前の部は、宝塚市民グループで管理運営している、宝塚すみれ発電を視察。丘陵にある大林寺という寺の敷地の一角に設置している太陽光パネル等、を案内してもらった。

きっかけは福島原発事故。自分らのエネルギーは自分らでつくる。NPO新エネルギーをすすめる宝塚の会を結成。続いて、非営利型株式会社宝塚すみれ発電も設立。社債を市民に引き受けてもらうなどして資金調達し、いま2か所に「発電所」をつくっている。これに並行して、宝塚市も新エネルギー推進課を新設し、「宝塚市再生可能エネルギーの利用の推進に関する基本条例」を制定。「みんなでつくろう 宝塚エネルギーを」と、原発に頼らないまちづくりに積極的に取り組んでいる。

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午後の部会場は、宝塚市東公民館。
前半は、元経済産業省官僚、古賀茂明氏講演「日本の成長は脱原発から」。テレ朝「報道ステーション」を「降ろされた」ことで有名になった人。経済産業省といえば原発推進の旗振り役であるだけに、「内情」に精通している。 

原発は、もはや斜陽産業。かつての石炭と同じ。原発がないほうが経済成長できることに世界は気が付いている。GE(ゼネラルモータース)のCEは「原発はビジネスモデルとして成り立たなくなった」と発言。原発比率はドンドン落ちている。中国では風力と逆転。原発は沖縄の基地と同じ。基地がないほうが沖縄経済の発展にはいいことに沖縄の人たちは気付いた。原発では、日本だけが取り残されている。

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午後後半が、脱原発をめざす首長会議 本番。
現在会員は108人だが、当日出席は14人。高知県では9人のうち私だけ。現職は公務で忙しいため、去年もこんなものだった。世話人の村上達也・元茨城県東海村長に再会。昨年9月に高知県に講演にお招きして以来で、堅い握手をした。

総会では、高知県での活動について報告を求められ、昨年9月、村上さんと島岡幹夫さん(元・窪川原発反対町民会議代表)に行なってもらった講演会と対談について報告。四万十市、高知市2会場で約600人集まり、盛況だった。

4月の高浜原発再稼働差し止めの画期的判決がありながらも、川内原発をはじめ再稼働が具体的スケジュールにのぼってきているこまこそ、この会議の役割は重要である。会場には、TV、新聞取材がたくさん来ていた。

総会では、先ごろ、経済産業省が2030年の電源構成(エネルギーミックス)を「20~22%程度」にするとした、ことに強く反対する緊急決議を採択した。理由は、

1. 政権与党自民党の公約と違うこと。
2012年衆院選公約「全てのエネルギーの可能性を徹底的に掘り起こし、社会経済活動を維持するための電力を確実に確保するとともに、原子力に依存しなくてもよい経済社会構造の確立を目指す」、
同2014衆院選公約「原発依存度については、徹底した省エネルギ―と再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化により、可能な限り低減させます」

2.「20~22%」は、事実上、40年超の原発も運転し続けることを前提とした数字。この水準を維持するためには、原発新設か運転延長しかない。福島事故後、原発は40年を寿命とする原則が決まっていることに反する。

3.被災自治体からの声。再生可能エネルギーの比率が縮小すれば、今後参入を検討する事業者にとってマイナス。震災で遅れをとった被災地の参入が不可能になり、産業再生に痛手となる。

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地元に帰って来てから、5月20日、原子力規制委員会は愛媛県伊方原発に「合格」を与えた。いよいよ、か。一方で、委員長は、100%安全であることを保障するものではないと、言い訳を言っている。
安全神話に続く、無責任体系の象徴が原発推進である。
多くの人に知ってもらわなければならない。

<脱原発をめざす首長会議>  http://mayors.npfree.jp/

畑仕事

 いま畑仕事に汗をかいている。
家の前に、草ぼうぼうにしていた畑があった。実家に帰って来て、毎日、荒れた畑を見るのも忍びないし、第一もったいないので、耕すことにした。

3月、草刈り機でざっと刈り取り、太い根っこはツルハシで掘り起こした。これがなかなかの重労働。ランニングで下半身には自信があるが、上半身はてんでダメ。腕が上がらなくなった。

そのあとは、兄に大型トラクターで粗たたきしてもらった。地力回復のため、苦土石灰、鶏糞、牛糞を播いた。堤防の草を刈りとったロールももらってきた。そのあと、父が残していたミニ耕運機でさらに細かくたたく。小さな草の根っこを、一つ一つ手で抜いては、拾う。腰がいたくなる。しかし、土にさわる感触が何ともいえない。

どうせ1年目は初心者。お試しだと思い、なるべくたくさんの種類の野菜を植えた。4月、JAから、苗を買ってきて、畑の3分の1に鍬で畝をつくり、ブロッコリー、ナス、ピーマン、枝豆、きゅうり、ネギ、ししとう、ズッキーニ・・・

そのあとは、さらに、イモ類で、ジャガイモ、目赤イモ(サトイモ)、ショウガ。
これで畑の面積の半分になったので、1年目は、これぐらいでいいだろうと思っていた。

しかし、隣の畑のおばさんが、空いているところには、かぼちゃ、スイカなど、地面をはうものが、手がかからなくていいと勧めてくれたので、そうすることにした。最初はビニールをかぶせてやった。

それでも、スペースが余ったので、きのう、最後に、サツマイモを2畝に植えた。やれやれ、ひとまず植え付けは終わった。

1か月前に植えたブロッコリーとズッキーは、早や収穫できるくらいになってきた。
ほかも、無事育ってくれるか、楽しみだ。

これからは雑草との闘い。梅雨以降は、闘いが本番になるだろう。
案外、ビギナーズラックに、なってくれるのではないかと、勝手に期待をしている。

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ドローンと大逆事件

一体、ドローンは何だったの???
その後、さっぱり報道されない。

4月22日、首相官邸屋上でドローン(小型無人飛行機)が発見され大騒ぎ。
テロ??? 新聞はトップ記事で報じた。

3日後、福井県の男があっさり自首。
男は「反原発を訴えたかった」と、これまた大きく報道。
「川内原発のまわりにも飛ばす計画もしていた」とも・・・

まるで、大逆事件(1910年)と同じだ。

ごく数人が、明治政府からの弾圧の腹いせに、天皇に爆裂弾を投げつけたらどうなるだろうかという具体性のない話をしていたことを、幸徳秋水を頭目に、大々的な「謀議」を図ったとして大きく宣伝。これぞ好機と、全く関係のない者も一網打尽にし、12人死刑、12人無期懲役。

2つの「事件」に共通するのは、子供じみた話を、大きく報道させること。「内容」はすべて警察が発表。本人は何も言えないし、取材もできない。新聞は、警察発表をたれ流すだけ。死人に口なし。何が真実かわからない。

100年前も今も同じ。
反政府行動の抑圧に利用すること。

ドローンでは、反原発運動が狙われた。
反原発はあんな連中がやること、テロと同じ。
そんなイメージを植え付けるには効果があったろう。
テロ対策強化、自衛隊海外派遣もという、世論誘導にもなったろう。
ほくそえんでいる黒い影がうかぶ。

あれは、本当に自首だったのだろうか。
ヤラセではないか???
そんな疑念が消えない。

浜口雄幸

 4月26日、土佐史談会総会記念講演は学ぶことが多かった。
川田稔・名古屋大学名誉教授(高知県出身)「浜口雄幸と昭和陸軍」

浜口雄幸は典型的な政党政治家であり、政友会と並立していた民政党総裁として第26代首相(1029-31)になった。官僚出身だが、髭をたくわえた、いかつい顔で、ライオン宰相と呼ばれた。昭和恐慌の真っただ中、金解禁など、緊縮財政を断行。ロンドン軍縮会議において、海軍の増強を抑える等、軍事費の抑制を図ったことから、軍部の反発を買い、東京駅で右翼の銃弾にたおれた。

浜口は高知県出身であり、こうした経歴については知っているし、浜口を描いた城山三郎の小説「男子の本懐」も読んでいる。しかし、私は浜口の評価については、いま一つわからないところがあったし、キチンとした研究に出会ったこともなかった。

川田氏の話は、戦争回避にむけて心血を注いだ、浜口の行動と考えは、平和的産業国家への途をめざしたものであり、戦後政治体制の原型であったと評価するものだった。関係著書もあるようだ。

(以下、要旨)

第一次世界大戦は、国家総動員体制=総力戦の魁であった。終戦後の情勢として、将来の日米開戦は不可避とみられていた。開戦にそなえ、軍部は軍備増強を主張。しかし、浜口は、アメリカには勝てないと考えた。軍拡を抑え、当時生まれた国際連盟の平和維持機能のもと、国際協調体制をすすめ、戦争防止システムをつくる以外にない。ロンドン海軍軍縮会議においては、軍部の反対を押し切って、断固軍縮を通した。

浜口は、パリ不戦条約が発効したさい(1929)は、「世界平和のため人類幸福の上に慶賀に堪えざるところである。ねがわくば、原調印国はもとより、参加列国はその本領に従い、その目的たる国家政策遂行の手段としての戦争放棄を永遠に順守して世界平和の実をあげんことを余は衷心より希望するものである」との談話(閣議決定)を発表している。

現行日本国憲法9条の戦争放棄規定は、第2次世界大戦の反省から生まれたものと考えられがちであるが、実は、戦前政党政治の時期に、日本自身も加わって締結された国際条約を一つの重要なベースにしている。この戦争放棄規定の体現をめざしたのが浜口である。憲法9条の原型は、すでにここにあった。(ただし、9条2項の戦力不保持規定は、別の要因による。)

・・・・

ここまでの浜口評価に出会ったのは初めてであり、感激である。

というのも、浜口には、以前から親近感を覚えていたからだ。謹厳実直で筋を通す頑固者は土佐のいごっそうそのもの。
浜口は高知中学時代、漢学者木戸明の教えを受けている。木戸は中村出身であり、かつて中村で私塾の師として、幸徳秋水も教えている。秋水の格調高い漢文調の文章は、木戸明から伝授されたもの。浜口は、大正期、木戸明銅像が中村小学校校庭に建てられたさい、東京から寄附金を送っている。2人とも木戸明の教え子である。

幸徳秋水は日露戦争で非戦論を唱えた。
浜口は、立場も基本思想も異なるが、戦争回避、国際協調の途をめざした。
再び戦争体制へと進んでいるいまだからこそ、2人に学びたい。

中村の木戸明子孫宅には、2人からの葉書が残っている。

木戸明の墓は秋水墓の隣にある。(中村正福寺)

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政治と世界遺産

 「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に指定されそうだという報道をきいて、素直には喜べない。政治的なにおいが充満しているからだ。

まず、この間の経過が異常なこと。世界遺産登録申請は、各国毎年1件。当初、今年度申請の最有力候補は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」であったが、官邸の意向で「産業革命遺産」が途中から割り込んできて、ひっくりかえった。また、その後、政府をあげて、ユネスコへの根回しを活発におこなった、と報道されている。

なぜ官邸がこれほど力を入れたのか。そこに政治がある。国民の政治意識の背景には歴史認識がある。いまの日本をどうみるかは、いまに至る日本の歴史をどう評価するかの問題と表裏であるからだ。

安倍首相は、先のアメリカ議会での演説では、過去の戦争への「反省」は述べたが、周辺諸国への「おわび」は口にしなかった。この7月には発表される戦後70年談話がどんな内容になるか、村山談話を引き継ぐか、注目されているが、たぶんこの演説と同じになるだろう。

この問題には首相の異常なこだわりがある。首相の「信念」であり、これが「安倍史観」である。従軍慰安婦、靖国参拝も同じ。最終ゴール憲法9条改正へとつながっている。

「安倍史観」はこうである。明治維新以降の近代日本は、めざましい発展を遂げた。西欧列強の植民地にならずにすんだのは、国民の一致団結の力である。先の戦争は、そんな日本を守るためにはやむを得なかったものであり、祖国のために命を捧げてくれた英霊には、尊崇の念をもたなければならない。日本はすばらしい国だ、日本国民もすばらしい。われわれは日本人であることに、自信と誇りをもとう。

安倍首相は、この間、さかんに「日本を取り戻す」と言っている。その日本とは、このように描かれた日本のことで、「明治日本の産業革命遺産」は、そんな輝かしい日本の歴史のシンボルである。世界遺産となれば、世界からそのお墨付きをえたことになる。

私は、明治期日本がきわめて速いスピードで産業発展し、世界の歴史でも稀なものであったことは認めるし、それを評価することに異存はない。というのも私が学生時代、専門的に勉強したのはこの分野であり、その後も考え続けているからだ。

しかし、歴史は複合である。「稀なこと」は「異常」であったということ。封建社会から「市民」が生まれ、徐々に産業発展を遂げた西洋諸国と違い、日本は江戸の封建社会からいきなり明治維新を経て、産業革命を達成した。そのためには強大な国家が必要であった。幕藩体制は明治国家になり、初めて統一的な日本国民が形成されたが、国民一人一人の権利や自由、民主主義というものは認められず、人のありようは基本的に封建社会のままであった。「お上」には逆らってはいけない、という意識はいまに根強くつながっている。

また、「異常」な発展は、周辺諸国への侵略により可能であった。日本が西洋列強からの独立を維持できたのは、素早く列強に相乗りして、朝鮮、中国、東南アジアへと、勢力圏を伸ばしていったことが大きい。その先の列強間の戦争は必然の帰結であった。つまり、明治国家の産業革命遺産は、戦争に直結しているのだ。

だから、韓国は反発。世界遺産に決定しないよう、ユネスコに働きかけている。慰安婦問題同様の緊張の火種になっている。

今回の候補は8県23施設に及ぶのも異常。メインは、高島炭鉱、端島炭鉱(軍艦島)、八幡製鉄所、三菱長崎造船所などの産業施設と思われる。高島炭鉱は囚人労働で、長崎造船所は戦艦武蔵などをつくったことで有名。朝鮮などからの強制連行労働者も多くいたとされている。

この中に、産業施設とは関係のない、萩城下町や松下村塾まで入っているのは、違和感がある。いま放送されているNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は、安倍首相のおひざ元であり、官邸の意向でつくられたと言われているが、またもや萩である。

そもそも、おととしの富士山に続いて、去年、冨岡製糸場が世界遺産に登録されたばかり。冨岡もまぎれもなく明治期産業遺産である。おそらく、これの申請には政治的背景はなかったと思われる。その後、これにヒントをえて、官邸が動いたのであろう。2年続けて、同類の申請をするのはおかしなことであり、またユネスコ側も、よくも受け容れたものと思う。政治的背景なくしては考えられないことである。

オリンピックも、世界遺産も、政治的に利用できることは何でも利用しようという、安倍首相の飽くなき姿勢がおそろしい。。
プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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