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歴史戦

2月11日、建国記念の日に反対する集会が高知県人権啓発センターであり、山崎雅弘氏の講演「息を吹き返す大日本帝国の精神―歴史問題の読み解き方―」を聞いた。

山崎雅弘氏は初めて聞く名前であった。事前にネットで調べると、在野の歴史研究、文筆家であり、結構本も出しているし、ツイッターなどでいまの安倍政権の歴史観、歴史認識を鋭く批判をしていることがわかった。講演の内容もいまの情勢に合った内容のように思えたので、一日をかけて参加した。会場は200人満席であった。

私は少し早く会場に着いたので、販売中の山崎氏の本3冊全部をすぐに買った。「歴史戦と思想戦―歴史問題の読み解き方―」(集英社新書)、「日本会議―戦前回帰への情念―」(同)、「戦前回帰―大日本病の再発」(朝日文庫)。

3冊の、はしがき、あとがき、をさっと読み、論点を事前に頭に入れてからきいたせいもあるが、大変わかりやすく、最近聞いた講演の中では一番よかったと思う。

話の中身そのものは、これまでいろんなところで聞いたり、読んだりしていることであったが、いまの安倍政権の諸政策、諸行動の根源にある理念・思想を理解しやすいよう、また他の人に説明・説得しやすいよう論理立てて、話してくれた。頭の中にストンと落ちた。

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最初に、「あいちトリエンナーレ事件」から始めた。去年のこの騒動は歴史に残る「事件」になるであろう、それだけ重大な「事件」だった、と言われた。

河村たかし名古屋市長が「日本人の心を踏みにじる」「天皇の権威を傷つける」と激怒したことが大きく報道されたが、なぜ、そんなに怒るのか、一般国民には理解できなかっただろう。(私も理解できなかった)

河村市長のような感覚は「大日本帝国の精神」を大事にする人たちに共通している。少女像を戦時慰安婦の象徴と見る者にとっては、日本軍は彼女らを強制的に性の奴隷にした事実はないと言いたいのだ。

安倍政権も同じであり、慰安婦像に異常な反応を見せる。先の戦争は侵略戦争ではなかった、日本は防衛上、やむをえず戦争をおこした、という考えに立てば、慰安婦像=日本侵略が許せないのだ。河村市長の父は軍人だったそうだ。

「日本」とは何か。日本国憲法の「日本国」と、大日本帝国憲法の「大日本帝国」は異なる。安倍首相は「日本=大日本帝国」と考えるグループであり、その集団の代表が「日本(にっぽん)会議」である。いまの自民党国会議員の8割がこの会(同議員連盟)に属している。

こうしたグループは、ありもしない慰安婦問題を取り上げるのは、韓国、中国が日本に「歴史戦」を仕掛けているのだとみる。「歴史戦」とはサンケイ新聞が最初に使った言葉だそうで、先の戦時下、大日本帝国が使った「思想戦」と同じような使われ方だ。

戦後、日本国憲法の三大柱は、国民主権、平和主義、基本的人権である。「大日本帝国」では、主権は天皇にあって、臣民(臣下)である国民には基本的人権は認められなかった。「特攻」にみられるように、人間の命は軽んじられていた。

天皇中心の国家体制・理念の柱になるのが「国家神道」であり、その行動規範を示したのが「教育勅語」である。天皇は神とされる。

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こんなこと、いまさら古臭いことをと思うかもしれないが、安倍政権のもと、着々とこの「戦前回帰」が進んでいる。教育基本法の改変、教育勅語の復活(憲法や教育基本法等に反しない形であれば教材として使用することは否定されない、という閣議決定)など。

国家神道の総本山は伊勢神宮である。毎年、安倍首相は最初の記者会見を伊勢神宮の建物内でおこなっている。(一宗教団体の施設内で行うのは、そもそも政教分離に反する憲法違反)

2016年サミットで伊勢志摩が選ばれたのはなぜか。各国要人を伊勢神宮に案内し、内外にアピールし、権威付けしたかったから。すぐに、近鉄の観光ポスターに採用された。

大日本帝国では、日本人を世界にまれな優れた民族とみる。自らを優れているとみることは、まわりの国は劣った民族とみることと同じである。中国、韓国への差別、ヘイト攻撃が最近とみに高まっている。

「あいちトリエンナーレ」で、いったん交付を決めていた国の補助金を撤回したのは、このようなヘイト攻撃を国が認めたということであり、国家ぐるみでヘイトをしていることになる。

安倍政権の最終的な目標は憲法改正である。中でも9条。いつでも戦争ができる国の形を復活させたいのだ。

私が今回知ったのは「歴史戦」という言葉があること。その背景には、戦前の日本の歴史を肯定し、日本がおこした戦争を「間違っていなかった」とみる歴史認識がある。

中国、韓国をことさらに反日と描くのは、それらへの反撃という大義名分があるという形で「歴史戦」を展開することにより、実は一方的に差別、攻撃するためである。すでに戦争状態であるということにしたいのである。

安倍政権は、ここまで来ている。戦前回帰を「まさか」そこまではと、決して軽くみてはならない。彼らは本気である。憲法を守るたたかいは、こちらも総力戦でかからなければ、やられてしまう。

そんな危機感を覚えた講演会であった。

山崎雅弘氏の3冊の本はぜひ読んでほしい。絶対おすすめです。

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山崎雅弘レジメ   山崎雅弘集会アピール
 講演レジメ       集会アピール





プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
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