ビキニの海は忘れない

 アメリカが太平洋ビキニ環礁で水爆実験を始めたのが1954年。今年で60年。当時ビキニ周辺でマグロ漁をしていた船の乗組員にたいする放射能汚染検査資料を9月19日、厚生労働省がはじめて公開した。高知新聞で報道されている。

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ビキニ水爆実験では静岡県焼津市の第五福竜丸の船員23人が被爆したことが大きな社会問題(ビキニ事件)になったが、実際にはほかにもたくさんの漁船が被爆をした。しかし、当時の日本政府やアメリカは第五福竜丸だけの「事件」に矮小化、その他の漁船についての被爆記録はないとして、関係資料の存在を否定してきた。

しかし、高知県宿毛市の元高校教師山下正寿さん(現・太平洋核被災センター事務局長)らが情報公開法に基づき粘り強く開示請求をし続けた結果、約1900ページ(304点)の資料を公開したもの。内容は、1954年3~6月、延べ556隻(実数473隻)の被爆検査結果や、政府の会議記録など。

山下正寿さんは教員現職時代の1983年、幡多地域の高校生たちの自主的なサークル「高校生幡多ゼミナール」をつくり、指導。高校生たちと一緒に、地域に埋もれた歴史の発掘に取り組む中で、ビキニ被爆漁船調査を始め、いまもずっと追跡している。高校生たちの活動記録は1990年、映画「ビキニの海は忘れない」(ナレーター・吉永小百合)にもなった。

福島第一原発事故以降、山下さんらは何度も福島の調査にも出向き、福島の高校生たちとの交流も始まっている。ビキニ、フクシマに共通しているのは、政府が正確な情報やデータを隠し、ウソを言うこと。福島の海も実際は相当に汚染が進んでいるとみている。

9月6、7日、脱原発首長会議主催の講演&対談(四万十市、高知市、本ブログ9月10日付掲載)において、明神水産・明神照男会長が会場発言をされていた。明神水産(高知県黒潮町佐賀)はカツオ漁日本一。黒潮に乗りカツオを追う。福島、三陸沖はその豊かな漁場であったが、放射能汚染により、これからは漁ができなくなる。いま地元漁船が底引き網等の試験操業をしており、とった魚の汚染調査をしているが、汚染の少ない海域や、データが低く出る魚の部位だけを調査して「問題ない」と公表しているので、信用ができない、と。

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  明神さん(その前が山下さん)

山下さんらは、当時ビキニ周辺で操業していた全国の漁船および漁船員を追跡調査する中で、50歳代の若さで、ガンで死んだ漁船員が多くいたことを、突き止めている。放射能汚染の影響は、その時はわからなくても、20年、30年後出て来る。

今回公開された資料を精査するなかで、そんな人たちとビキニとの因果関係等が明らかになるものと思われる。公開にあたって、厚生労働省は「乗組員に健康障害が生じるほどの高い被爆があったとは考えていない」とコメントし、さっそく予防線を張っている。

山下さんらは警告している。福島海域から、食物連鎖による汚染がすでに日本、世界の海に広がっている。福島沖の汚染されたプランクトンや小魚(こざかな)を、中型、大型の魚がそれぞれ食べ、回遊することで。その影響は何十年後に出る。それは陸上汚染も同じ。いまの子どもが大人になった時など・・・

 ビキニはフクシマにつながっている。


 『ビキニの海は忘れない』(平和文化出版社)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%93%E3%82%AD%E3%83%8B%E3%81%AE%E6%B5%B7%E3%81%AF%E5%BF%98%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E2%80%95%E6%A0%B8%E5%AE%9F%E9%A8%93%E8%A2%AB%E7%81%BD%E8%88%B9%E3%82%92%E8%BF%BD%E3%81%86%E9%AB%98%E6%A0%A1%E7%94%9F%E3%81%9F%E3%81%A1-%E5%B9%A1%E5%A4%9A%E9%AB%98%E6%A0%A1%E7%94%9F%E3%82%BC%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4938585235

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Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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