コールセンター DIO 倒産の怪(3-終)

4. 問題点

 以上の経過から、以下の問題点を指摘したい。

(1)進出企業のすりかえ

「コールセンターオペレーター養成事業」は四万十市が事業主体となり、DIOが現地につくる子会社に運営委託することで当初から話が進んでいた。12月ごろ、DIO側から共同出資者を入れたいという話が出た。しかし、出資比率がどうなるか等の具体的話はないまま、3月3日、子会社が設立登記された。県、市は、そのあとで出資構成(エボラブル90%、DIO10%)を知った。

事業計画書をつくったのはDIO、四万十市審査会でプロポーザルをしたのもDIO、その後の追加資料等を提出したのもDIO、1月27日、「基本協定書」を結んだのもDIOである。すべて、DIOである。

当然ながら、県、市による補助金審査は、「DIOがつくる子会社」に委託すること、を前提に行なわれた。

ところが、委託先は突然別の会社にすりかわった。
事業計画において、運営を委託する先がどこかということは最大のポイントである。委託先がかわったことで、審査は無効になるとみるのが常識であろう。

 なぜ、こうなったのだろうか?
当初はDIOが進出する計画だったものが、途中から経営状態が厳しくなり、エボラブルアジアに譲ったのか。それならば、「エボラブル社が主体になる」ということを、子会社設立前に県、市に伝えなければならない。そのうえで審査をやり直さなければならない。

そうしなかったということは、最初から仕組まれたものであり、エボラブル社はコールセンター運営の実績がないことから、DIOをダミーに使ったということだろうか。もし、そうなら、そんな会社、果たして信用できるのか。また、そもそも両社はどんな関係にあったのか等、詳しい背景は説明されないままである。

(2)審査ルール 違反

11月20日の四万十市審査会で合格しなかった時点において、本件は補助金対象から外れたとみなすべき。上述の通り、四万十市の審査は「募集要領」で、プロポーザル形式にすることを明記しているからだ。

案件の採択は最終的に県の審査で決定するが、県にあげる前段の審査は市町村に任されている。市町村ごとに、プロポーザル形式、独自審査(政策判断等)等、に分かれる。

そんな中で、四万十市は、公平性を期すため、民間有識者等、外部審査委員に委嘱するプロポーザル形式とした、これは、私が市長時代に決めたルールである。市ホームページで明記している。

よって、審査会に合格しなかったからといって、別ルートで県にあげるというのはルールに反する。現に、県が事業採択した四万十市案件は22件であるが、本件を除く21件はプロポーザルで合格した案件である。本件のみを特別扱いにすれば、落選者を含む他の応募者に説明がつかない。(説明もないまま)

さらに、本件は、当初から県からの紹介案件である。審査会も経ないまま、市だけの判断で県にあげるということは、どこからもチェックが働かない「出来レース」と言われても仕方があるまい。しかも、その事業者(予定)が、その後倒産したとなると、どんな審査をしたのか、県、市の責任は重大である。

なお、四万十市は募集要項で、審査結果は市ホームページで公表するとしているが、いまだ公表していない。

(3)対象補助制度の適否

 そもそも、今回の「コールセンターオペレーター養成事業」が「四万十市起業支援型地域雇用創造事業募集要項」に適合するかも疑問である。

「要項」では、「支援対象企業の要件」として、①起業後10年以内、新たに起業する場合は契約時に起業していること、②本社が市内に所在、等をあげている。

この補助制度は、本来地元に根付いている「顔が見える」団体や個人を対象としている。本件では、会社を市内に新規設立することで、一応地元という体裁をとっているが、実態は東京にある本社の一事業所にすぎないことは明らかである。最初のプロポーザルにおいても、審査員からこの点が指摘されている。

さらに言えば、高知県は「産業振興計画」の補助金メニューの一つとして、以前から、事務系職場の誘致推進策として、「コールセンター等立地促進事業補助金」をつくっている(平成26年度、商工労働部パンフ、11ページ)。まさに、そのものズバリ。なぜ、この補助制度の適用しなかったのか。

というのも、「起業支援型」の補助枠は市町村ごとに制約があるなかで、本件のような異例な大型案件が途中から入ってきたことから、四万十市の他の案件が「割りを食い」、申請額をカットされるという事態になったからである。その理由は明らか。DIOがより有利な補助を要求したからである。

(4)基本協定書 未締結

 四万十市はエボラブルアジアとは、いまだ企業進出の基本協定書を結んでいない。現状では、何ら協定を結ばないまま、一民間企業に、小学校跡地という市の公共財産を無償で使わせているという、異常な状態になっている。

DIOと結んだ、先の協定書は同社の倒産により実質無効になっている。ならば、現在事業を行なっているエボラブルアジアとも、あらためて協定を交わすことは最低限、行なわなければならない。

田野川小学校跡地には、無償どころか、今回の事業にあわせ、教室の改装費用等3679万3千円を市が負担している。(四万十市平成26年度当初予算)

基本協定書を交わすさいに、重要なことは、県も加え、3者協定とすべきことである。本市への企業紹介等、最初の道筋をつけたのは県であり、そのためDIOとの協定においても3者協定となっているからである。県の責任も明らかにしなければならない。

現に、四万十市は、県の紹介だからということで、DIOの独自調査は行なわないまま、ノーチェックで受け容れたかたちとなっている。

5.結論

いま最も重要なことは雇用の安定・継続である。いまのような経済環境の中で、50人の雇用が図られているということの意味は大きい。地元の期待も大である。

本件は、四万十市が「コールセンターオペレーター養成」を民間企業に委託して行なう事業である。1年間(来年2月末まで)は、人件費等、ほぼ100%の経費が補助金として支給される。よって受託企業は実質負担ゼロである。

問題は2年目からである。2年目からは補助金は出ないけれども、自力で継続雇用をしてもらうことを前提にした事業計画をたてさせ、四万十市が事業委託契約を交わしている。

しかし、雇用継続は「義務」にはなっていない。いまの50人の身分は1年間の契約社員である。最も望ましいのは全員が正社員になり、雇用が継続されることであるが、そうなるとは限らない。

「受託」を専門とするコールセンター業界は参入企業が増えたこと等により、経営環境がきびしくなっているといわれている。そうした中で、はたしてエボラブルアジアが四万十市での事業を継続するかどうかであるが、同社の本業はインターネットによる旅行商品販売業であることから、自からの商品を販売する「自前」のコールセンターとして機能させるならば、事業継続の可能性もあると思われる。

その場合も、これまで本件にかかわってきた、県、市、同社の3者が、上述した問題点について、説明責任をキチンと果たし、さらに3者による基本協定書を、交わしたうえでのことである。

DIOの二の舞にならないことを願っている。

(終)

<付記>
DIOが本市とセットで進出する話になっていた四万十町小学校跡地のコールセンターについても、似たような経過をへて、いまは別会社(株式会社ネットワークインフォメーション、略NIC)が運営をしている。

DSCN1502.jpg
田野川小学校 最後の運動会
2012.10.7

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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