自治体病院をどう守るかー四万十市立市民病院 4年間の試みー

2013.10.5
田 中 全
高知県医労連 講演会(要旨)


            自治体病院をどう守るか
           四万市立市民病院 4年間の試み


1.市民病院の歩み

  ・昭和27年設立、幡多国保病院(幡多郡東部17町村立)
   8診療科、一般130床、伝染33床
  ・同39年、中村市民病院へ
  ・同51年、富山、大川筋診療所、直診から付属施設へ
  ・平成16年、新医師臨床研修制度スタート
  ・同17年、四万十市民病院へ改称
  ・同19年、救急告示医療機関 返上
        富山、大川筋診療所 廃止
        一般病床130→97、病棟3→2へ
  ・同21年、公立病院改革ガイドラインに沿って「改革プラン」策定
  ・同22年、「改革プラン」見直し(改訂)
  ・同23年、脳ドッグ健診開始

 (参考)
  ・昭和23年、県立宿毛病院設立(民間→日本医療団→県立)
   ・同26年、県立幡多結核療養所設立(中村)
   ・同32年、県立西南病院と改称(一般150床、結核150床)
   ・平成11年、幡多けんみん病院設立(宿毛・西南統合)
    現在、18診療科、医師48人、病床一般324、結核28、感染3

  主要民間病院
  ・四万十市  竹本、森下、木俵、中村、幡多、吉井
  ・宿毛市  筒井、大井田
  ・土佐清水市  謂南、松谷、足摺
  (その他)町立大月病院、西土佐診療所

2.病院経営の推移

  ・当初から、幡多における位置づけ・役割が不明確で、経営も不安定。
   県立病院、民間病院との分野調整等が不十分。

  ・県への経営移管要請が受け入れられず、昭和39年、中村市単独経営へ。
   当初の診療科8→ 現在5(内、外、整形、脳外、泌尿器)

  ・医師確保
   派遣は名古屋大→ 長崎大・熊本大(愛媛大)→ 徳島大(高知大)
   当初から安定せず、昭和52年ごろには常勤医師ゼロになったが、 同54年、徳島大から派遣を受けるよう になり、しばらく安定。

   昭和57年、脳外科設置(幡多で唯一)。
   平成9年、医師数ピーク18人。
   平成16年(新医師臨床研修制度)までは、16人以上で推移。
   以降、漸減、ボトムは平成21年6人。(泌尿器科休診)
   徳島大、平成21年度以降、派遣なし。

  ・経営収支
   終始不安定で推移をしているが、特に、平成10年度以降、累積赤字が解消されず、いまに至る。平成24   年度、累積赤字13億5千7百万円。

   資金繰りも悪化し、平成11年度以降は銀行からの短期借入が発生。短期借入は、年度中にいったん返済   (借入ゼロ)しなければならないことから、資金ショートを防ぐため、平成19年度以降、市一般会計から資金を投入(公営企業法基準外繰入)している。

  (市一般会計からの基準外繰入)
  19年度 300百円
  20年度 220百万円(ほぼ同額市職員全員給与カット)
  21年度 70百万円(別途、病院職員のみ給与カット63百万円)
  22年度  0
  23年度 77百万円 市議会が2度否決
  24年度(86百万円)市議会が長期貸付金に修正
  25年度 35百万円


3.病院改革への取り組み

 ・平成19年度、政府が公立病院改革ガイドライン策定を通達。
  同21年2月、四万十市立市民病院改革プランを策定。
  「公営企業としての独立採算の原則に立ち戻り、今後は経費節減等に努め基準外繰入は行なわない 」

 ・平成21年4月、市長選挙

 ・平成22年3月、病院改革プランを見直す(改訂)。
   改革プラン検討委員会(有識者3、地域代表2)
  「企業としての経済性の追求と公共目的の追及の均衡の上で経営」
  「最大限効率的運営を行なってもなお不足する、真にやむを得ない部分については、一般会計が基準外繰り出  しで負担する。」

 ・市民病院の果たすべき役割。
  幡多医療圏における地域医療の確保。
  幡多けんみん病院(地域中核病院)の24時間救急の下支え。
  高度な専門的医療の提供
   呼吸器内科(幡多唯一)、全身麻酔手術(市内唯一)、透析25床、生活習慣病(糖尿病セミナー)
  地域医療機関との連携(医療ソーシャルワーカー2名採用)

 ・経営改善委員会(院内)
  外部経営診断・コンサルタントの導入
  軽費節減、薬院外処方へ
  広報活動、広報誌「せせらぎ」発行、ホームページリニューアル
  病院フェア開催(一條大祭)

 ・医師招聘策(現在医師6→11人まで回復)
  医師情報の収集と機敏かつ粘り強いアプローチ
  大学との関係維持
  県、国保連、医師会との連携
  医師の待遇改善
  ホームページ活用(募集サイト)
  病院の特色の明確化

4.いのちと健康を守る市政へ

 ・保健・医療・福祉連携事業
  特命参事配置
  健康福祉委員会設立(地域単位)
  あったかふれあいセンター(3事業)
  口腔ケア事業
  こころの健康相談センター
  脳ドック健診(市民病院脳外科)
  活き活き訪問健診(市民病院医師派遣)

 ・市民病院のあり方検討委員会
  市民各層委員23名
  8回開催、意見とりまとめ

 ・市民病院を守る会
  市民病院存続署名活動、1万2千筆
  セミナー、勉強会

 ・テレビドラマ「遅咲きのヒマワリ」ロケ

 ・平成25年4月、市長選挙

5.今後の課題

 ・病院の役割・特徴の明確化
  経営形態の検討
   公営企業法全部適用など

 ・24時間救急の再開
  市立急患センターの設立(医師会委託)

 ・継続的医師確保

 ・市民意識の向上

              以上

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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