原発における「地元」とは

 鹿児島県知事が川内原発再稼働に同意した。原発のある薩摩川内市長に続くものだ。これで地元の「お墨付き」がもらえたということで、政府は年明けにも、原発再稼働に踏み切ることが確実になった。

鹿児島県知事と薩摩川内市長は、これまでも再稼働に積極的な発言をしていたことから、今回の手続きは「出来レース」なのだが、こうなると一番問題なのは「地元」とは、どの範囲なのかということである。

いまの国の「手続き」では、「地元」は原発立地市町村と、その都道府県だけになっている。しかし、これはおかしい。福島原発事故を受けて、原発から半径30キロ圏内を「避難区域」とする新たな基準が定められ、当該市町村では「避難計画」の策定が求められることになったからだ。

原発事故が起これば放射能は無限に広がっていく。被害は立地市町村だけにとどまらない。これは福島をみれば明らかなこと。ならば、最低限でも、半径30キロ圏内の市町村の「同意」をとることが必要なことは「常識」に属すると思う。

川内原発では9市町が30キロ圏内である。現に隣接する、いちき串木野市、日置市は、自分たちの意見も聞くようにと要求している。

 これに対し、きのうの伊藤祐一郎鹿児島県知事の発言がふるっている。
「原発に対する知識の少ないところの意見を聞くと、議論が錯綜する」ので、現状のままでいいと。
このほど、宮沢経済産業大臣が鹿児島県に来たさいも、訪ねたのは薩摩川内市と県庁だけで、近隣市町は素通りした。

政府の狙いははっきりしている。
とにかく原発を再稼働させたい。そのためには、同意の範囲を広げて、いろんな意見を聞くことで、時間をかけたくないということだ。

しかし、これは矛盾である。一方では、原発の安全性について広く国民の理解を求めると言い、「避難計画」も広くたてさせると言いながら、それは口先だけで、本音は、最初から再稼働ありきで、なるべく早く動かしたい。だから、そこを突かれると、鹿児島県知事のような、トンチンカンな言い訳をしなければならなくなる。

周辺自治体も「原発知識が少ない」とは、バカにされたものだ。
要は、政府など「原子力ムラ」の人たちにとって、住民の安全は二の次であるということである。

 ところが、ややこしいのは、原発の隣接自治体でも意見を言いたがらないところが多いという現実。理由は、政府の意向を忖度し、さからいたくない。政府ににらまれると、あとがこわいというもの。例えば、伊方原発(愛媛県伊方町)に隣接する八幡浜市や大洲市は、いまだにダンマリである。

わが高知県の尾﨑知事も同じ。以前このブログにも書いたが、今年2月の記者会見で、「地元同意」については、「高知県の同意を条件とすることは求めない」、その理由として、「距離の近いところの発言力が強いことは合理的な姿だ」と言っている。http://hatanakamura.blog.fc2.com/blog-entry-45.html

つまり、高知県は「距離」が遠いから、発言を遠慮するということ。伊方から高知県への距離は四万十市と梼原町が最も近く50キロである。この距離は遠いから安心というのだろう。

高知県にとっては、冬には北風が吹くので、この距離はあってないようなものである。また、四万十川の愛媛県側の支流広見川の源流点は30キロ地点であり、そこに降った放射能で四万十川は死の川になってしまう。

原発事故においては、従来の距離の概念を根本から変えなければならないことは、高知県知事もわかっているのに、あえて目をつむっているのだ。

これは知事としての責任放棄である。
知事をはじめ地方自治体の首長の責務の最大のものは、住民の生命と財産を守ること。現に、京都府知事や滋賀県知事は、福井県の原発に対して、自分たちにもモノを言わせろと国に要求している。

 原発における「地元」であることから、逃げ回っている首長には、そもそも首長の資格はない。

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この映画は凄いらしいです。

http://www.nihontogenpatsu.com/

この一本の映画で推進派を論破できるくらい凄いそうです。
プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
幸徳秋水を顕彰する会事務局長。
FB(フェイスブック)もやっています。

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