明神丸と三陸沖

 NHKテレビ「プロフェッショナル 仕事の流儀」(11月10日放送)で佐賀明神丸が紹介されていた。「開拓せよ、最強の一本釣り ― カツオ漁師 明神学武」

佐賀明神丸の母港は高知県佐賀港(旧佐賀町、現黒潮町)。明神水産はカツオ船8艘もち、その中の第83佐賀明神丸(149t)は近海カツオ一本釣り漁獲高日本一を誇っている。その敏腕の漁労長明神学武さん(40歳)の紹介番組だった。

佐賀明神丸は1年のうち300日、黒潮に乗ってカツオを追う。1月下旬、佐賀港を出て、九州沖から四国、和歌山沖をのぼり、6~11月は三陸沖が主な漁場となる。三陸沖だけで年間の約半分を、気仙沼港に水揚げする。

カツオ漁は、いかにカツオの群れを発見するかにかかっている。番組は、明神学武さんの、その優れた探知能力を解明することがテーマ。だから、学武さんのプライベート生活などに密着した取材だった。

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 それはそれで見応えのある内容であったが、明神丸がいま岐路に立たされている近海カツオ漁の現状の問題についての掘り下げはなかった。

その問題の一つは、カツオ資源の問題。今年の春先は極端な不漁であった。地球温暖化や乱獲の影響が考えられる。

もう一つが、主要漁場である三陸沖が福島原発事故の影響で海洋汚染が進んでいるとみられる問題。これにどう対応するか、いつまでここで漁が続けられるのか。この問題については、このところ明神照男・明神水産会長(前社長)が将来への懸念発言をしている。

 私もメンバーになっている脱原発をめざす首長会議では、9月6,7日、脱原発講演会&対談を、四万十市と高知市で開いた。明神会長は両日とも参加され、会場から問題提起の形で、以下のような発言をされた。

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今年7月、福島県相馬市の松川浦漁港に行って来た。原発による海洋汚染の影響について調査するため。福島沖の漁は、まだ全面解禁にはなっていない。獲った魚の放射能汚染調査をしながら、少しずつ解禁されてきてははいるが、将来本当に復活するのか心配になった。

福島原発からは、いまでも汚染水が海に垂れ流されている。放射性物質は海底に沈殿する。巻き網漁船は、それを巻き上げて操業。まず、海底のプランクトンや小魚が汚染される。その小魚などを中型、大型の魚が食べる。カツオ、マグロなどは広く回遊する。福島発の食物連鎖により世界の海が汚染されつつある。

明神会長の先輩たちは、ビキニ水爆実験の最中、南太平洋でマグロ操業をしていた。その後、先輩たちは、40~60歳代で、ガンで死ぬ者が多かった。放射能で汚染されたのは第五福竜丸だけではなかった。高知県の多くの船も汚染されていたことがわかったのは最近のこと。明神会長には、その悪夢がある。
<ビキニの海は忘れない>http://hatanakamura.blog.fc2.com/blog-entry-108.html

 三陸沖は、黒潮と親潮がぶつかるところ。世界の三大漁場の一つ。
一番心配なのは、船員の家族から「父ちゃん、もうあんな海には行かないで」と言われるのではないかということ。

福島原発については、東京電力は信用できない。
別のNHKテレビで、漁民が震災ガレキ拾いの日雇い仕事をしており、その子どもが「お父さんの仕事はガレキ拾い」というシーンがあった。それを見て、心が痛んだ。福島の漁民は本当に気の毒だと思う。なんで、こんなことになってしまったのか。

 ・・・・・・

漫画「美味しんぼ」の鼻血記事騒動もそうだったが、こんな発言をすると、すぐに「風評被害」だといってタタかれる。しかし、「風評」とは、根拠がないデマのこと。事実や真実を伝えることを、風評のレッテルを貼って口封じをすることで喜ぶのは、いま復活してきている「原子力ムラ」の人々である。原発被害を隠す。マスコミもそれに利用されている。

「東北復興」の報道は続けられているが、その大半が津波被害地域の紹介であり、いまなお故郷に帰れない12万人の原発避難者の報道は最近ほとんどされない。海に出られない漁民の現状についてもそうだ。
彼らは「復興」の展望が開けないままだ。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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