NHKの沖縄報道

 NHKの報道番組は、つくづく政府の広報だと思った。

3月25日夜、NHKテレビ「ニュースウオッチ9」を見た。大越キャスターが現地沖縄から辺野古基地問題を報道するという触れ込みがあったからだ。

大越キャスターは、沖縄県庁でその日の昼、翁長知事へのインタビューを行ない、事前に収録したと思われる、政府の菅官房長官インタビューとセットで、双方の言い分を紹介。両者の主張の溝は埋まらず、ますます対立は激化していると、コメントした。

そして、問題の経過については、19年前の日米両政府による普天間基地の移設合意を起点として説明。辺野古基地問題は普天間の危険除去のための「移設問題」であると、繰り返し述べていた。こうした視点は政府のプロパガンダそのものである。

問題の核心は違う。太平洋戦争において、唯一本土決戦となった沖縄(国土面積の0.6%)において、戦後、日本の米軍基地の74%が集中しているという実態が歴史的起点であり、その上に、普天間にはない巨大軍事機能付加された基地がつくられようとしている。「移設」ではなく、「新たな」基地なのだ。

そして、「もういいかげんにしてほしい」という沖縄県の民意は、この間の一連の選挙で明確に示されている。政府は、その民意に耳を貸さず、翁長知事とも会おうともせず、無理やりに工事を進めている。政府が言う「粛々と」は「強引」の意味。民主主義の否定である。

そんな問題の核心への突っ込みをNHK は行なわず、「両者の対立深まる」と、「公平」を装うことによって、実質的には政府見解への誘導を図っていることは見え見えであった。

 さらに、番組には仕掛けがあった。
大越キャスターが那覇空港から中継していたことである。基地問題に絞った報道かと思っていたら、突然、沖縄経済の問題に変わった。

那覇空港はいま、中国、台湾、東南アジアを結ぶハブ(中継)空港として、24時間ひっきりなしに、飛行機が発着している。貨物便が多く、ここで荷物を積み替えて、また飛び立つ。これに伴い、沖縄を訪れる観光客等も増加しており、沖縄県経済はいま日本で一番活況を呈している。那覇の国際通りの土産物屋では売上が増えていると、店主の笑顔を流していた。また、沖縄県は全国一出生率が高く、人口も増えていると・・・

私は、いま沖縄にとって、いや日本にとって、最も切迫している重要問題は、辺野古基地問題であるから、NHKには基地問題に絞って、その歴史的背景や、いまの県民の声などを、掘り下げてほしかった。

なぜ、沖縄県経済の問題をセットで解説しなければならないのであろうか。NHKの意図は明確。基地問題へ国民の関心が集中するのを、そらしたいから、焦点をボカしたいから。沖縄は、国からの特別な振興予算をもらい、景気もいいのに、なぜ基地問題ではわがままを言っているのか、ふざけている・・・そんなふうな、世論をつくりたい。沖縄の声と日本の世論を分断したい。

しかし、沖縄の景気がいいというのは一面的な見方。きのう(27日)、厚生労働省が発表した2月の有効求人倍率では、沖縄県は全国最下位の0.78倍である。また、沖縄県の人口増加率がずっと高いのは、沖縄戦で20万人が亡くなったことが影響している。

沖縄米軍基地はいまの沖縄県経済にとって、大きな阻害要因になっていることは、多くの県民が実感している。だから、「基地はもういらない」が「オール沖縄」の声になっている。

 昨年11月29日、稲嶺進・沖縄県名護市長を本市に迎え、「名護市と連帯する四万十市民の集い」を開いたさいも、稲嶺さんは、そのことを強調するとともに、沖縄のことが他県ではほとんど報道されず、辺野古の実態が国民に広く知られていないことを心配していた。(昨年11月30日付ブログ参照)

政府は「毒を食えば皿まで」の姿勢。沖縄県との全面対決による法廷闘争を有利に進めるため、急ぎ既成事実を積み上げることによって、いまさらどうしようもないと、諦めさせたいのだ。

沖縄は従属の歴史。
琉球王朝は、江戸時代、侵略により薩摩藩の支配下に置かれた。太平洋戦争では、唯一の本土決戦の場となり、アメリカの統治下、銃剣とブルドーザーでほしいままに基地をつくられた。そして、今度は自分たちの国、日本政府によって、チュら海(美しい海)を埋め立て、新たな基地がつくられようとしている。

いま、日本政府が一番恐れているのは国民世論。
マスコミ対策に必死である。

われわれが沖縄のために、できること。
それは、沖縄問題に関心を寄せること、沖縄の真実を知ること。
沖縄を知ることは、日本の民主主義を守り、日本の平和を守ることである。

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田中全(ぜん)

Author:田中全(ぜん)
四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃんです。

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