四万十市合併10年を考える(6)

 合併とは何だったのか。この10年間をどう評価すべきか。そろそろ結論を急ぎたい。

繰り返すが、この合併には理念のようなものはなく、国からカネをもらうことが目的であった。そのカネの効果は、狙い通り大きかった。

第一に、合併特例債の発行枠88億円が与えられたこと。これをハード事業に使えば70%返済免除。第二に、交付税の合併算定替といって、本来削減される交付税額が、合併すれば10年間猶予された。四万十市は、この額が毎年平均約6億5千万円だった。

四万十市は、こうした特典を最大限活用した。すぐに市役所本庁舎の建て替え(39億円)に着手。私になってからも、西土佐支所・消防分署建て替え、西土佐道の駅建設のほか、中村小学校改築、武道館新築などに充てた。これで懸案であったハード事業のかなりの部分を賄うことができた。

仮に、合併がなかったとすれば、これらすべてを短期間で達成することはできなかった。全国をみても、これだけ積極的に特典を活用した例は少ないであろう。

合併の評価のポイントは、住民(市民)の暮らしや生活等が、これによって、良くなったかどうか、である。その意味では、各種施設の改築等が進んだことは、その利用等で市民が恩恵を受けることから、メリットといえる。

 しかし、他に合併メリットをさがすのは難しい。
市の財政規模が拡大した(一般会計予算が200億円を超えた)こともあげられるが、これは旧市村の予算額を合わせた額であり、合併で純増したわけではなく、まとまった予算を重点的に使えるようになったぐらいであり、メリットといえるほどではない。

また、職員数の削減、行政事務等の効率化等については、西土佐村役場が総合支所に格下げになったことに代表されるように、住民サービスの低下になっていることは間違いない。

このことについて言えば、自治体の行政サービス等は、小さな単位あればあるほど、その地域の実情に合った、きめこまかな対応ができることから、本来、自治体の規模は小さいほどよい、ことは皆が認めるところであろう。地方自治の基本は小さな自治体である。

しかし、都市部への人口移動(東京一極集中等)による過疎化や、人口減少、高齢化等による税収減等により、自治体運営が難しくなってきた。また、国のほうでも自治体をコントロールしやすく、また地方交付税も削減できることから、自治体の数は少ないほうが都合よい。だから、合併を誘導する。誰も合併をしたい者はいないが、せざるをえないように追い込まれているのが実情である。

「合併をしないと潰れる。夕張のようになる」
政府だけでなく、合併を進めたい首長は住民の不安をあおった。

そうした中、合併を選択するにしても、相手をどこにするか。縁組は、人の場合もそうであるように、理念や目的だけでなく、育った環境、つまり地理的条件や文化・歴史等を共有しているとうまくいきやすい。
四万十市の場合、どうだったのだろうか。

  (続く)

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
幸徳秋水を顕彰する会事務局長。
FB(フェイスブック)もやっています。

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