憲法審査会と知事の立場

 衆議院憲法審査会は、6月15日、高知市で、地方公聴会を開いた。地元の6人が憲法についての意見を述べたが、その中の1人に尾﨑高知県知事がいたのには驚いた。

憲法審査会は憲法にかかる諸課題等を審査する国会の機関であり、衆議院議員(各会派)で構成をされている。広く国民の意見を聞くために開いているのが地方公聴会である。

今回の開催要領によれば意見陳述者は公募で選ばれた。知事以外は、自営業者、主婦、大学准教授、労組委員長、翻訳業者であり、男5、女1、高知県在住5、徳島県在住1、である。

5人は一般市民と言えるだろうが、知事は県を代表する公人である。だから、議会、記者会見、国への要望・提案等、いくらでも自分の意見を述べる機会があるし、現に述べてきている。

公聴会の趣旨からして、そんな知事を選ぶほうもおかしいが、応募する方も応募するほうだと思う。知事の見識が問われる。

さらに意見の内容も問題である。いまの国会の状況から、みなが安保関連法案への考えを述べたが、尾﨑知事だけが賛成(容認)であり、他の5人は反対(違憲判断)であった。

法案の前提となる集団的自衛権を支持するかどうかでは、知事と自営業者の2人が支持、4人が反対。自営業者は、集団的自衛権行使は憲法解釈の変更ではなく、憲法改正手続きによるべきだという意見であった。

知事の発言要旨はこうである。(高知新聞記事による)

「諸外国との協調なくして、わが国の安全は守れない。自衛目的に限るという点では、今でも(自衛権発動の)旧3要件があり、その中に『急迫不正の侵害』がある。(新3要件の中で示された)諸外国への攻撃でも、ほぼ連鎖してわが国への『急迫不正の侵害』につながり得るなら、連続的かつ合理的な範囲内で(自衛権の発動ができるとの)解釈変更は認められるのではないか。新3要件に基づいて法律を作ることは一定容認される。」

政府見解と同じである。

ほかの4人は、

主婦・・・「憲法は権力を縛り、国民の権利と自由を守るもの。憲法を守らなければならないのは権力者側だ。権力者が自分たちに都合よく憲法を変えてはいけない。」

大学准教授・・・「このような解釈変更が許されるなら、どんな条文もいかなる内容にも解釈できる。」

労組委員長・・・「法案が成立すれば、憲法の枠を超えてどんなことでもできてしまう。立憲主義の根幹が問われる。」

翻訳業者・・・「多くの憲法学者が支持しないような法解釈に、国民がどうして納得できるのか」

この4人は憲法改正にも反対である。
私はこの4人の意見と同じ。

公聴会では、孤立した知事の意見だけが目立った。

知事は、財務省時代、第一次安倍内閣の官房で仕事をしていた時期がある。だからであろうか、アベノミクスをはじめ、いまの安倍政権の政策に対しては、もろ手をあげて「歓迎」の姿勢を示している。

知事は産業振興計画などで県内を走りまわっており、県民の人気も高い。しかし、最近の知事は何かおかしいと、県民は気付きはじめている。

こんな憲法理解や、政府(権力)に対して何も言わない(言えない)基本姿勢では、県民とのギャップはますます拡大していくであろう。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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