民意と国会

 安保関連法案が今朝未明、成立した。私はこの法案に対して一貫して反対してきた。今後は、世論の力で法案の運用を許さないようにすることが重要である。違憲裁判等も続くことになろう。

世論とは民意のことである。今回ほど民意と国会が乖離してしまったことはないであろう。各種世論調査では、法案に反対が過半数であり、さらに、政府の説明が不十分、今国会で成立させるべきではない、は60~80%にのぼる。これだけの民意が示されながら、政府は強行した。

民意と国会がズレてしまうことほど、国民にとって不幸なことはない。国会議員の数が民意を反映していないから、こうなる。先の選挙で自民党や公明党を支持した人(多数派)でも、当選した議員に全権委任をした訳ではなく、今回の安保法案のような個別の政策では反対の意見をもつ人が多かった。そうした声も政府は無視をして突っ走った。

これは国会議員の数の横暴であり、決して民主主義ではない。民主主義の破壊である。こうなってしまったのは、小選挙区制という選挙制度に問題の根っこがあると思う。民意を反映しない制度だからだ。これとセットの政党交付金制度も問題だ。

先の衆議院選挙では、自民党の得票率は4割台であったが、議席数では7割を超えた。これらの制度では、党の公認をもらわないと、カネももらえないし、選挙も戦えない。だから、自民党内の権力は首相周辺に集中する。以前はいろんな派閥があり、いい意味での牽制やブレーキがきいていた。しかし、いまの派閥は名ばかりになってしまった。

国会議員は議員バッチがなくなれば、ただの人。民主党政権時代に、それが骨身に染みた。だから、いまではだれも首相には逆らわない。首相官邸が絶対権力をもつ。今回の法案に対して、自民党議員から批判めいた声はいっさい聞こえなかった。恐ろしいほどの統制だ。自民党が変質してしまった。

 今朝の高知新聞に山口二郎法政大学教授のインタビューが載っている。きのう講演会で高知市に来ていた。自分は1996年、小選挙区制導入を支持した。しかし、「見立てが甘かった」。この制度においては、当然ながら、指導者が民主主義や立憲主義、法の支配など政治の基本を理解していることが大前提だが、まさかこれほど基本を理解しないリーダーが現れ、政治主導で憲法原則を転換させるとは思わなかった、と。

ここまでくるといまの日本は安倍信三という一人の政治家の独裁国家になってしまったような感がある。

しかし、今回われわれは多くのことを学んだ。学ばせてもらった。民主主義とは、国民一人一人が声をあげることであることを。黙っていては独裁者の思うつぼであることを。

国会周辺には、政党や労働組合から動員されたのではない、多くの若者や女性など普通の市民が多くかけつけた。高知県、四万十市でも同じだった。

日本国民は成長した。
この貴重な経験はこれから生かされると確信している。

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小選挙区の問題ではなく

英国は完全な小選挙区制ですが重要な案件でも造反は時々あります。2年前にアサド政権が化学兵器を使ったのでシリアを空爆する事案がありましたが与党の保守党か造反がでて否決らなりました。だからといって反対票を投じた議員が処分されたり次回の選挙で党公認にならなかったりすることはありません。
問題は日本の場合あまりにも党議拘束が強すぎることにあるのではないでしょうか?
小選挙区は政治家個人の名前を投票用紙に書きますが比例だと党名です。よけい党首の方針に左右されやすくなります。
同じ党といっても何もかも考え方が同じってのは奇妙な話なので党議拘束をゆるくするほうが良いと考えます。どの政党に属しているかよりどの有権者の負託を受けてるかのほうが重要です。
ナチスが政権を獲得したのは比例代表制です。
小選挙区のほうが良いと思います。
プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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