伊方原発再稼働と高知県知事

 10月26日、愛媛県中村知事が伊方原発第3号機再稼働に「同意」した。同日、伊方町長も「同意」したことから、鹿児島県川内原発に続いて、年明け以降再稼働されることが確実になった。

これを受けて、尾﨑高知県知事も同日記者会見をし、「地元の愛媛県知事が同意をしたのだから、やむをえないと思う」と、再稼働を容認した。高知県知事として、伊方原発再稼働の賛否について、初めての態度表明である。

私は「脱原発をめざす首長会議」に所属している。9月5日、同じく会員の高瀬満伸・前四万十町長とともに、同会議世話人の村上達也・前茨城県東海村長を高知市に迎え、3人で記者会見を行った。

その席で、伊方原発再稼働反対を表明するとともに、同会議高知県会員8名と村上世話人の連名による「伊方原発3号機再稼働反対 高知県下首長の積極的表明を求めます」というアピールを発表し、高知県知事を含む県下35人の首長に届けた。知事に対しては私が持参した(窓口、林業振興環境部新エネルギー推進課)。 →9月5日付 本ブログ参照

しかし、これに対して、知事からの回答らしきものはいまだない。

知事はこれまでもたびたび、距離の近いところ(地元)が強い発言力を持つのは当然である。高知県としての「同意」を求めることはしない、と発言してきた。つまり、高知県は地元ではないので発言は遠慮するというスタンスであった。

こうした経過からみれば、尾﨑知事は愛媛県知事が同意するのを待っていたと言える。

しかし、そもそも「地元」とはどの範囲をいうのか、その概念はきわめてあいまいである。今回の「地元同意」には何ら法的根拠はない。現行では、立地自治体(伊方町、愛媛県)が四国電力と安全協定を結んでいるから、「地元」は立地自治体ということにされているだけ。

しかし、原発事故が発生した場合を考えれば、その被害は立地自治体だけにおさまらないのは福島をみれば明らかである。風向きなど自然条件次第で、その被害は無限大に広がる。何キロまでは安全といえる基準はない。被害を受ける危険があるという意味では、どこも「地元」なのだ。

伊方原発から高知県までの距離は、わが四万十市と梼原町が50キロ圏内にかかっている。四万十川の愛媛県側の支流にいたっては30キロ圏内である。

高知県はすでに四国電力との「勉強会」を16回開いている。そこで、いろんな角度から疑問点を指摘しているという。その中の一つに、現在電力は十分に足りているのに、なぜ原発再稼働が必要なのか、合理的説明を求めているというのもある。この回答はまだなされていない。

私は、県の産業振興政策等については、尾﨑知事は、国への要望を積極的に行うなど、迅速な対応をしており、心強く思っている。しかし、南海トラフ巨大地震対策にもつながる伊方原発問題については、じれったいほどに腰が重く、発言にも主体性がない。記者会見でも目を横にそらし、いつもの輝きもない。高知県も愛媛県と同様「地元」であるという意識は封印している後ろめたさがあるからであろう。今回の容認発言も説得力がなく、ただ「愛媛県知事が同意したのだから」というだけ。

結局、尾﨑知事は県民の安全よりも、国策優先、政府には逆らわないという姿勢であることは明らかである。県独自の課題等には積極果敢に取り組むけれど、こと国の政策と絡む問題については、とたんに発言がトーンダウンし、主体性がなくなる。ここに、県民の視点より国の政策の視点から考えるという、官僚出身知事の限界があり、矛盾がある。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
幸徳秋水を顕彰する会事務局長。
FB(フェイスブック)もやっています。

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