図書館民間委託

 「図書館は知の拠点、自治体が自前で運営を」
11月2日付、高知新聞に、片山善博氏(慶応大学教授、前鳥取県知事)の論説が載っている。

先月、愛知県小牧市では、図書館のあり方をめぐって住民投票が行われた。東京の民間事業者(ツタヤグループ)に、市立図書館の管理運営を全面委託することの可否を問うたものだが、結果は反対が圧倒的に多かったことから、市は民間委託を撤回した。

公立図書館の民間委託については、ひところ佐賀県武雄市が注目されたが、いまではいろんな問題点が出てきて、混乱をしている。

片山氏は言う。

「公共図書館は、その地域の歴史や文化、行政資料などを保存し、これを現在および将来の市民の利用に供するよう整えておくのを重要な使命としている。」「図書館とは、過去の知の拠点として、これからの地域にとって必要な知の資産を取り込んでいく役割が求められている。」

だから、「図書館は小中学校などと同じく、外部に委託するのではなく、自治体が自前で経営すべき」

「図書館とは地域の知の拠点として末永く運営されるものであり、切り盛りする司書たちも長期的な視野で配置され、養成されるべきだからだ。」「地域の知の拠点は意地でも地域が自前で切り盛りすべきだ。そんな気概も力量もないのであれば、そもそも『地方創生』など語る資格はないように思う。」

私もその通りであると思う。
地方自治に長く携わってきた片山氏の発言は重い。

というのも、四万十市では、来年度(4月)から、市立図書館の民間委託が予定されているからである。

私が市長時代には、そんな計画はいっさいなかったし、予定もなかった。しかし、今年になって、この問題が突然浮上。目的はただ一つ、行政改革の名目による、行政コスト(人件費など)削減である。

6月市議会に関係条例案が出され、9月受託業者が募集され、内定(東京の業者)、12月議会で承認を受ける段取りになっている。しかし、この間、市民への説明もないまま。市議会での議論もない。

無駄な行政コストの削減については、私も異を唱えるものでない。しかし、問題はどの部門から削減するか、優先度の問題である。

四万十市立図書館は中村市時代から、多くの郷土史関係の資料等を保存している。中でも、幸徳秋水関係資料は一級品である。

こうした資料については、委託業者と契約を結び、従来通り管理をしていくとしているが、仮にそうだとしても、過去からの経緯やその資料の価値を知る市職員がいなくなれば、そのうち管理がずさんになり、散逸してしまう懸念はぬぐえない。

そもそも、民間委託は図書館管理の効率化にあるのだから、最も管理が「ややこしく」「非効率な」郷土史資料関係等は軽視されてしまうことは、当然予想できる。委託業者は短期間契約の更新なのだから、採算に合わないなど、何か見込み違い等があれば、いつ撤退するかわからない。地元に縁もゆかりも、責任もない、チェーン店と同じ、なのだから。

私は、四万十市を「清流に歴史と文化を映すまち」と呼んで、地元の歴史、文化、人物を大切にしてきたつもりである。文化事業にも、さまざま取り組んできた。

しかし、いまの市政には、文化政策というものがほとんどない。私が着手していた、「文化の入れもの」である市立文化センター建て替え事業も、凍結されたまま。土豫銀行跡地活用計画も遅々として進んでいない。

それどころか、逆に、図書館民間委託という、長年蓄積してきた地域の知的資産を骨抜きにするような、「文化つぶし」を行おうとしている。

市民が知らないうちに、こうした事態が進んでいる。
十分な監視が必要だと思う。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
幸徳秋水を顕彰する会事務局長。
FB(フェイスブック)もやっています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR