上林暁

 最近、上林暁が話題にのぼることが多い。上林はすでに1980年に没した作家。高知県旧大方町(現黒潮町)出身であり、ふるさとを舞台にした作品も多いことから、私は以前から親近感をおぼえ、愛読している。しかし、地味な私小説作家であったため、一般にはあまり知られていない。

話題の一つが、今年度「火花」で芥川賞をとった又吉直樹。彼は上林ファンだといろんなところで語っている。

また、上林の作品はすでに絶版になったものばかりであったが、最近、夏葉社という小さな出版社が「星を撒いた街―上林暁傑作小説集」と「故郷の本棚―上林暁傑作随筆集」を出した。これが結構売れている。

決して流行作家でなかった上林がいまになって話題にのぼることは、私にとって不思議な現象だと思うけれど、ファンの一人としてはうれしい。時流にこびない、地味な作品こそ、時を経てから、黒光りするのだろう。「玄人筋」には、結構上林ファンがいるのだと改めて思う。

黒潮町の「あかつき館」には、上林暁文学館がある。いま、企画展「書くために生きる」を開催中。上林が脳溢血で倒れてからの晩年、寝たきりの左手で書いた原稿などを展示している。

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10月17日、展示会の初日、夏葉社の島田潤一郎社長(室戸市出身)の講演会「うずもれた名作をとどけたくて」があった。私はききに行った。

同社の社是は、何度も読み返せる本、読めば読むほど味が出る本、を出版すること。上林が悲しみを乗り越えるために文学をしてきたように、悲しみは言葉の力、物語の力で乗り越えられると信じている。

39歳の若い社長(といっても社員は本人だけ)の言葉とは思えなかった。この人は本当に本が好きなんだなあ~

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翌日には、メイン企画、又吉直樹との対談もあった。この日は四万十川ウルトラマラソンと重なったため、私は行けなかったが、又吉人気もあって満員盛況、あふれた者も多くいたようだ。

会場からの「上林さんを一言でいってくれませんか」の質問に、島田さんは「花というより草のような方」、又吉さんは「感情の友達」と答えたそうだ。

上林文学の源流は何か。私はいま上林暁「私論」を黒潮町の文芸誌に書いている。連載が終わったら、来年、このブログで紹介したい。この続きとして、読んでほしい。

入野松原の中にある「あかつき館」は、昨年、2年前、館長がかわってから、いろんな企画で発信している。地域文化の発信基地をぜひ訪ねてほしい。

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Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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