2つの成人式

 1月11日は「成人の日」であったが、四万十市は今年も正月休みの1月3日に成人式を行った。市内2カ所、中村会場と西土佐会場に分けて。

高知県下自治体で会場を分けて成人式を行っているところは四万十市だけ。詳しく調べた訳ではないが、おそらく全国にもこんな所はないのではないか。なぜこうなっているのか、この経緯について、説明しておきたい。

2005年4月10日、中村市と西土佐村が合併して四万十市が発足した。長い歴史をもつ二つの自治体が合併したのであるから、諸制度や仕組みをすぐに統一することはむずかしく、しばらくの間、併存することは、よくあることである。

しかし、合併10年を過ぎても、なお成人式が分かれたままというのは異常である。

私が市長をつとめたのは合併5年目から4年間。調べてみると、何年後をメドに統一するというような、正式の記録や申し合わせは残っていなかった。しかし、旧西土佐村職員の話では、「西土佐村立小学校に入学した生徒が中学校を卒業するまでの間」は、独自の成人式を残したいという「議論」があり、そういうことになっているということであった。それによれば、2014年1月の成人式から統一することになる。私はもっと早く統一したほうがいいと思ったが、これに従った。

成人式の所管は教育委員会である。2012年、教育委員会でもこのスケジュールを確認し、正式決定は改めて西土佐地域の住民の方々に説明をしてから行うこととなった。

教育委員会は、西土佐区長会総会の席でこのことを説明。反対意見は一つも出なかった。その他関係者からも異論を耳にすることはなかった。

そうした中、私は2013年5月、市長を辞した。同6月、井口教育長も。2014年1月から統一成人式になることを、疑わないまま。

ところが、そうはならなかった。私らが退任したあと、西土佐の一部から反対の声が突然あがり、新市長、新教育長がそれを認めてしまったのである。いつから統一するかも決めないまま、無期延期。

四万十市の今年の新成人は約300人。うち西土佐の約30人は全員が西土佐中学の卒業生なので、成人式は同窓会のようなもの。少人数ゆえに、緊張感の中に、ほのぼのとした温かさがある。1人1人が前に出て、新成人としての夢と希望、決意表明をおこなう。それを地域の人たちが見守る。手作り感のある素晴らしい門出の式である。

だから、このような成人式は残してほしいという気持ちはわかる。私が市長時代もそのような雰囲気が感じられないわけではなかった。

私は市長になる前、合併には反対であった。しかし、西土佐での住民投票では合併賛成のほうが多かった。そうした経緯を経て合併し、新しい四万十市になった以上、いつまでも成人式が分かれたままという訳にはいかないだろう。どこかで区切りをつけなければならない。

特に、成人式といえば、将来の四万十市を担う青年が心一つになってもらい、市民が期待を託す場である。その青年が一つになれないということは、四万十市としてゆゆしきことであり、対外的にも「かっこいい」ことではない。新市としての結束力が問われる。

成人式にはいろんなやり方がある。もし西土佐が独自に行いたいのなら、必ずしも官製(自治体がおこなうもの)の儀式にこだわる必要はなく、地域独自でいろんな工夫をすればいいのではないか。2次会を自分たちだけで行うという方法もある。

行政として「1市2制度」は合併の自己否定になる。いまの中平市長は元西土佐村長として合併を強く推し進めたのだから、その責任を完遂してほしい。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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