市民病院への心(2)

 次に、この間の、一般会計から病院へ「貸付」というやり方は問題である。

私の在任中から、議会多数派は繰り入れに反対で、2011年は2度原案否決のうえ3回目でやっと通してくれたが、翌12年は、原案を貸付に修正されてしまった。

その理由は、私の前の市長と考えは同じで、病院に自己責任求めるというもの。現市長もこれを踏襲しており、この2年間は貸付で対応している。

貸付とは、当然ながら、返済を求めるものでる。しかし、いまの市民病院の現状からみて、返済が望めないのは明らかである。

なのに、貸付をすることは、当該年度の赤字のツケを将来に先送りすることになり、年度単位の病院会計の明朗化に反する。また、一般会計においても、返済のめどのない貸付は「不良貸付=不良資産」をかかえることになり、同様に会計の明朗化に反する。

だから、仮に貸付を行うとしても、その期限が来れば、繰り入れによって回収(解消)すべきである。ところが、今回、補正予算における1億円の貸付は、2012年に貸付けた86百万円の期限が到来するものを、さらに継続(延長)させるものである。

また、貸付で問題は、その額である。2014年度は5億円という巨額の貸付を行っている。なぜ、こうなったのか。

これには、少し詳しい説明がいる。
病院会計は企業会計であるから、独立会計が原則である。だから、2013年までは、資金が不足する月は、市中金融機関から短期の借入をおこない、しのいできた。しかし、会計原則に従い、この借り入れは1年以内にいったん全額返済しなければならない。自己資金を集めギリギリ返済に不足する分を、一般会計からの繰り入れで充当してきた。

ところが、2014年度は、この市中金融機関からの借り入れ分に上乗せして、一般会計からの長期貸付で肩代わりした。例年通りならば、自己資金を絞り出し、不足分の繰り入れをギリギリまで抑えるのに、だ。

気前のいい支援に見えるかもしれないが、実際はよけいな資金まで貸し付けたことになる。この結果、病院会計の資金不足比率は一挙に高くなった。会計上、借入金は「資金不足」としてカウントされるためである。

このままいけば、2018年には資金不足比率が20%を超え、「経営健全化団体」に転落することになる。「倒産企業」と見なされ、病院運営に大きな支障をきたすことになる。

貸付という、問題先送りの手法をとらず、年度ごとに、ギリギリ資金不足になる額を一般会計からキチンキチンと繰り入れをしておけば、こういうことにはならなかった。自分で自分の首を絞めたことになる。

いまになって、あわてて、また給与カットとは、見通しの甘さを露呈している。

こうした現市長の対応の根本問題は、市民病院に対する「心」がないことである。市民の命と健康を守るために市民病院がどうしても必要な病院だという位置づけが弱く、病院をやっかいもののように思っている。

現市長は、市民病院の24時間救急を復活することを公約にかかげていたのに、就任後すぐに「任期中はできません」と堂々と発言。

また、病院経営改善の根本策である医師の確保への本気度もみられない。だから成果もあがらない。西土佐診療所でも、4月から2人いる医師が1人になる。

病院の資金不足の責任を職員に転嫁するような市、市長と職員が対立してゴタゴタしているような病院に、来たいと思うような医師はいないだろう。医師は、働き甲斐がある病院、市長がしっかり支えてくれる病院を望んでいる。そんな病院で安心して働きたいと思っている。

また、給与カットは、病院の経営改善や拡充に向けて努力している職員のモチベーションを下げてしまう。職員のやる気がなくなれば、どんな改革もできない。自殺行為である。

一般会計からの繰り入れを渋る理由に、財政見通しがきびしいことをあげている。しかし、最初に繰り入れをした10年前に比べると、四万十市の財政事情は着実によくなってきている。市の貯金(基金)も積み増してきている。

現市長は市民病院をどんな病院にしたいのかメッセージもない。私が在任中、病院のホームページをリニューアルし、「病院開設者からのメッセージ」の窓を設けた。開設者とは最高責任者である市長のことだ。私は、市民病院は市民の命と健康を守るために必要であり、さらに拡充させたいということを、何度も発した。

しかし、現市長はメッセージを一度も書いたことがない。それどころか、この窓を閉鎖してしまった。(市ホームページでは「窓」は残っているが、メッセージが載ったことがない)

市民が市民病院に期待しているのは、医療の充実である。目先の赤字か、黒字か、ではない。医療が充実すれば、おのずと結果(収支)はついてくる。

いま邁進すべきは医療の充実に向けてである。それが最善の経営改善策である。木を見るのではなく、森を見なければならない。

(続く)

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
幸徳秋水を顕彰する会事務局長。
FB(フェイスブック)もやっています。

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