伊方原発再稼働

 8月12日、伊方原発3号機が再稼働した。熊本地震以降では、はじめて。

高知県では、伊方からの距離は、わが四万十市と梼原町が最短で50キロ圏内。また、四万十川の愛媛県側支流広見川の源流域(三間川)は30キロ圏内である。不安は尽きない。

四国内では、今年度13%の電力供給余力があり、安定供給の目安8%を大きく上回っている。いま原発なしでも電力は足りているのに、なぜ再稼働しなければならないのか。

多額のカネ(設備投資)を投じた原発設備を使わないのはもったいないということ。ただ、それだけである。要は会社の収支上のこと。経営優先の判断だ。「安全よりも経営」。今年度株主総会では、社長は「これからは稼ぐ時代」と堂々と言ったという。

今年4月の熊本地震では、震源は大分県から鹿児島県に及んでいる。断層でつながっているのだ。いまも揺れは続いている。

このため、7月に新たに就任した鹿児島県三反園知事は、県民の不安は大きいとして、九州電力に川内原発の一時停止を求めている。

伊方原発の沖合には、奈良県から別府湾まで伸びる日本で一番長い断層(中央構造線)が走っている。多くの地震学者が、熊本の揺れはこの断層を刺激していると指摘している。

豊臣秀吉の時代には、この断層がズレて、伏見城を倒壊させた「慶長豊後地震」(1596年)がおこっている。先日、大河ドラマ「真田丸」でやっていた。

なのに、愛媛県中村知事は平然としている。鹿児島県知事と大違いである。高知県尾﨑知事もとなりに気を使っているのか、だんまりである。

四万十市では、6月、「原発避難計画」を策定した。県の「指導」を受けてつくったものであり、広報8月号に載っている。

「避難計画」はないよりもあったほうがいいし、私はこの計画を否定するつもりはない。しかし、この計画の実効性については、大いに疑問である。

計画に書かれているのは初動対応についてだけ。1.情報連絡体制の整備、2.屋内退避、3.一時移転・避難、4.安定ヨウ素剤の配布服用。

福島原発事故の例でもわかるように、一度事故がおこったら、被害は無限大に広がる。風向きなどで、どの方角に放射能が広がるか予想はできない。屋内退避で済むことはまずありえない。遠くへ避難することが最優先になる。

しかし、この計画では、市外への避難についてはどこへ逃げるかを定めていない。国からの指示を待つとしている。

そもそも、四万十市だけの判断でどこに逃げるかを決めることはできない。受け入れ側の事情があるからだ。しかも、地震の場合は、津波、がけ崩れ等による道路の寸断などで、容易には動けなくなるだろう。どんな事態になるかだれも予想でいない。

避難計画は、一つの市だけで策定するのは無理というものである。県だってそうだ。隣県の事情もある。

そもそも、原発事故を想定した避難計画というものは、だれがつくっても万全というものはなく、机上の空論(気休め)になってしまうのは明らかだ。

現に、伊方原発は、40キロに及ぶ細長い佐田岬の付け根にあることから、事故がおこった場合は、半島の住民約1万人は逃げ場を失う。このため愛媛県は海の向こう大分県に船で避難するという計画をつくっているが、こんな計画が実現可能とはだれも思っていない。

津波が来れば船など近寄れない。しかし、原発を再稼働させるためには、形だけでも計画をつくらなければならない。再稼働ありき。お墨付きを与えることに意味があるだけだ。

住民の命を守るための計画ではなく、原発再稼働のための計画なのだ。

一番確実な避難計画は、原発を止めること。
これに尽きる。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
幸徳秋水を顕彰する会事務局長。
FB(フェイスブック)もやっています。

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