お盆の風習

 高知新聞「声ひろば」投稿
 2006.9.7


 私は今年のお盆に帰省していて、あらためて気づいたことがある。

私の実家がある旧中村市実崎は四万十川の河口に近い戸数八十ほどの地区だが、お盆には各家が相互に仏壇を拝みに回る風習がある。留守の家も玄関を開けおくので、みんなが勝手にあがり、仏壇に線香をあげる。お盆の初日の午前中などは、地区中ゾロゾロ歩き回っている。

家ごとに回る先は言い伝えで決まっており、いまは親戚づきあいをしていなくとも、祖先が同じとか昔なにかの縁があったとからしいが、根拠ははっきりしない。わが実家では二十戸ほどをまわっている。

私が子供の頃は、各家とも上がり口にお盆専用の仏壇の棚を組み、四隅に竹の笹を飾っていた。その笹が夜ジリジリという音を発するのは、ご先祖様が帰ってきている声だと聞かされ、こわかった。お盆が終わると、その笹や供え物は私ら子供が四万十川に流しに行った。

今回の帰省中、川の対岸(竹島)の菩提寺の住職に尋ねたが、この謂われはわからない、近在ではほかにはないとのことである。

県下各地を転勤している地元の教員も、初盆の家や近い親戚を回るのはめずらしくはないが、このように地区総出で回る風習は知らないという。私も転勤で全国を歩いたが、巡り合ったことがない。おそらく、お盆には祖先の霊を地区全体で一緒に迎えようとの申し合わせがいつの頃かにあったものであろう。

最近、この風習を簡素化してはどうかとの声も出ているようだが、地域のつながりが薄れてきている昨今だからこそ、地域特有のこのような風習はぜひとも残してほしい。

なお、読者の方で、このような風習をご存知の方がいれば、ぜひ教えていただきたいものである。


 高知新聞「声ひろば」投稿
 2006.9.7


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Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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