大文字送り火

土佐の小京都中村の夏の風物詩、大文字の送り火に今年も手を合わせてきた。

場所は四万十川河口近くの間崎地区。土佐清水に向かう国道からすぐ右手に十代地山(通称大文字山)見える。私が住んでいる実崎の隣で同じ旧八束村であることから、ほぼ毎年出かけている。

この行事がいつごろから行われてきたかはっきりとした記録はないが、16世紀、土佐一條家初代房家が京都を懐かしんで始めたものと言い伝えられている。

地元間崎地区の人たちが3班に分かれ、毎年交代で松明を集めてきて山の斜面に並べ、神事のあと、薄暗くなったころの7時15分、点火する。夜空に字が少しずつ浮かびあがり、20分ほどで大の字が完成する。今年の夏は雨が少なく乾燥しているため火の勢いがよく、例年になく豪快な字になった。

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伝統行事としての大文字送り火が行われているのは全国で京都とここだけ。最近京都は毎年8月16日と決まっているが、ここは旧暦(7月16日)を続けている。

私は京都の送り火を鴨川べりから見たことがあるが、山との距離があるため、大の字は遠く小さくしか見えない。しかし、ここは目の前に、ど~んと迫ってくる。手でつかみとることができるぐらいで、迫力が全然違う。
 
それなのに見物する人は少ない。山のふもとの広場にやぐらを組んで盆踊りも行っているので、そうした地元の人たちが中心であり、中村の町や市外からも来る人もいるにはいるが、せいぜい合わせて数百人というぐらいだろうか。ひしめきあうという感じには遠い。

これだけの伝統行事であり、小京都中村のシンボルとして、市のほうでもPRをしているのに、不思議である。地味なためであろうか、一度見れば十分と思っている人が多いようである。

これに比べて、8月末に行われる四万十川花火大会(9千発)はものすごい人気である。最近は市の人口を上回るような数万人規模である。市外、県外からの人のほうが多い。ホテルは満室。

こうした影響を受け、3年前から、大文字送り火にも花火がセットされるようになった。送り火が消えかかる終盤の8時、盆踊りを一時休んで、ドドーンと花火があがる。

花火は、もっと多くの人たちに送り火を見に来てほしい、伝統行事に参加してほしいという、地元の人たちの気持ちの表れであり、地元企業からの協賛金でまかなっている。

花火は数百発で、わずか10分ほどで終わる程度にすぎないが、しばしの間、送り火と花火の競演が見られる。

・・・しかし・・・私は複雑な気持ちになる。送り火に花火は似合わないのではないかと。

大文字の送り火は、あくまでお盆の送り火であり、あちらの世界に戻るご先祖様を静かに見送るもの。一方、花火は、季節や行事に関係なく行われる「祭り」である。

京都の大文字に花火はない。仮に花火が行われたとすれば、みなさんどう思うであろうか。せっかく伝統行事に触れようと思って来たのに、興ざめと思う人も多いだろう。

花火がセットされるようになってから、送り火を見に来る人は、少しは増えたようにも思うが、大勢には影響がないような気がする。

花火ならどこでも見られる。
しかし、大文字送り火は、ここと京都だけ。

送り火は、しみじみと味わったほうがいいと思う。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
幸徳秋水を顕彰する会事務局長。
FB(フェイスブック)もやっています。

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