広報と広告(2)

広報誌に有料広告は必要なのか。みんな、どう思うだろうか。

それよりも、問題は、広報誌をどれだけ身近に感じているである。多くの人はパラパラとめくって必要な記事だけをサラリと見て、あとは放ってしまうだけであろう。開くだけでも、ましなほうかもしれない。だから、広報誌に広告が載っているかどうかも気づかないのではいないか。

しかし、広報誌には、一人ひとりがその地域で生活し、暮らしていくためには必要欠くべからざる情報が満載されている。医療、健康保険、税金、保育園、学校、災害対策、慶弔、諸行事、そして施政方針など・・・。

広報誌は無料で原則全世帯に配られる。だから、水や空気と同じで、普段はあって当たり前と思っているが、これがなくなれば、たちまちに困る。

広報誌は無料とはいっても当然、発行・配布費用がかかっており、それらは市の財政、ひいては市民が負担する税金で賄われている。

多くの自治体、特に地方の自治体は人口が減り、これに伴い、税収も年々減っている。財政事情はきびしい。四万十市もそうだ。

どこの自治体も行政改革などで、ギリギリ支出(歳出)を切り詰め、収入(歳入)がえられるところでは少しでも得ようと努めている。広報誌に有料広告を載せるのは、こうした手段の一つだといえる。

しかし、みなさんに考えてほしいのは、広報誌に有料広告を載せることは、本当に必要な「努力」といえるのだろうか。

自治体運営の原則は公平平等。
広く市民に情報を伝え、市民からも広く情報を得なければならない。

広報誌に有料広告を載せるということは、市民のための大切な誌面を「売る」ということである。結果、情報スペースがその分だけ削られるということになる。

また、広告には、こんな問題もある。仮に、広告の内容に問題がありトラブルになった場合、またその広告主が何か社会的問題を起こした場合、市は掲載責任を問われることになる。市は広告を載せただけであり、商品内容等には関知していません、と言っても通用しない。これについては、「広告掲載要綱」において、業者を厳選することにしてはいるが、常にそんなリスクをかかえることになる。

「広報しまんと」では、裏表紙の下段約半分に広告を載せているが、その販売価格は1カ月7万円(プラス消費税)である。年間にすれば84万円の収入になる。(今年1~8月号の広告内訳は、不動産販売3、文具販売2、福祉施設、学校制服販売、コインランドリー各1)

これを発行費用の一部にあてるというのなら、広報の誌面を縮小してその分発行コストを抑えるのと、同じとも言える。

また、よくある無料のタウン誌と同じように、思い切って広告のページを半分ぐらい(またはそれ以上)にして、発行コストのすべてをまかなうという方法も考えられなくはない。

広報誌の役割はNHKに似ている。公共放送のNHKはマーシャルを流さない代わりに、国民の受信料でまかなっている。もし、受信料を払いたくないというのなら、NHKはコマーシャルを流すことになろうし、民送と変わらなくなる。

その代わり、台風、地震、交通情報のような国民の命に直結するような、きめ細かいな情報は流されなくなるであろう。また、Eテレでつくられているような教養・教育番組も少なくなるであろう。(NHKが公共放送としての役割をいま本当に果たしているかは別の問題)

先に紹介したように、「暮らしの手帖」の花森安治は、広告を載せることは「魂(たましい)を売ること」と言った。

これは、画家(芸術家)が自分だけで絵を描き上げるように、「暮らしの手帖」という自分の作品は隅から隅まで自分の手(責任)で仕上げたいという、花森編集長の熱意、願望のあらわれでもある。それだけ自分の作品に対する思い入れが大きかったのだ。

これは広報誌についても同じだ。広告を載せるかどうかは、自治体としての主体性、ひいてはトップ(首長)の思い入れにもかかわっている。

広報誌を単なる市民への回覧板のようなものとみるのか、首長からのメッセージと位置付けるかである。

広報誌は、首長が住民と情報交換できる唯一の恒常パイプである。

住民への情報提供、および住民からの情報収集は、自治体の生命線である。これをコスト問題とからめてはいけないと思う。

四万十市は、今年度から、市立図書館運営と市民病院給食業務を民間委託した。コスト削減のためである。一方で、3年前から副市長を外部(中央官庁)から迎え、2人にしている。

自治体の究極の使命は、住民の命と暮らしを守ること。

そのために、必要なコストと無駄なコスト。

真剣に、考えてほしい。(終)

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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