丹後、但馬、因幡(3)

 余部鉄橋 

NHKドラマ「夢千代日記」は、冬の暗い海から吹きつける冷たい風の中、黒い汽車が汽笛を吹かせて、ゴトゴトと、この鉄橋を渡るシーンから始まる。主演の吉永小百合の物悲しい顔が窓に映る。

1981~84の3部作。原作、脚本は早坂暁。冬の日本海のわびしさと切なさをかもしだす象徴として、この鉄橋が演出に使われていた。

三方を山で囲まれた「陸の孤島」に、長さ309m、高さ41mの鉄橋が明治日本の最高の土木技術を結集して建設された。明治42年(1909)着工、45年(1912)完成。冬の時代、幸徳秋水らの大逆事件と重なるころだ。

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以来、日本の鉄道橋のシンボルとなったが、昭和61年(1986)、回送車両が突風を受け転落、6人が死亡した事故は記憶に新しい。

そんなこともあって、鉄橋は、2010年、コンクリート橋に。鉄橋の端の部分は歴史遺産として保存されていた。車の橋ならば、これくらいのコンクリート橋なら、いまではあちこちの高速道路などにできているが、鉄道専用橋ならば、なおめずらしいのではないか。

しかし、あの鉄の橋を見たかった。もう少し早く来ればよかった、と悔やまれる。

橋の真下は、「道の駅あまるべ」。記録資料が展示されていた。

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駐車して、山道から登ってみると、山の上に余部駅があった。ホームから旧橋までは展望デッキ「空の駅」になっており、目の前にどんよりとした日本海が広がっていた。

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駅に登ってくるのも大変だろうが、この駅ができたのは鉄橋完成47年後(昭和34年)。それまでは、橋はできても、地元にご利益はなく、隣駅まで歩かなければならなかったそうだ。

この地は、元は兵庫県香住町、いまはやはり合併で「香美町」となっている。高知県には「香美市」があるが、こちらも合併で生まれた市だ。

香住―余部間は、山陰近畿自動車道(自動車専用)が通っていた。さらに、鳥取方面に進むと、延伸工事があちこちでおこなわれていた。

山側を走るため、海はところどころしか見えない。そのうえ、浜坂温泉あたりで薄暗くなってきた。ここから少し入れば、夢千代の舞台、湯村温泉だが、先を急いだ。

 鳥取県(因幡)に入ると岩美町を過ぎ、鳥取市では砂丘の標識が見えたが、以前来たこともあるのでパスし、鳥取駅近くの鳥取民芸美術館に入った。牛戸焼などの地元陶器を見た。

一息入れてから、岡山県津山をめざした。
中国道につながる、新しくできた鳥取自動車道に乗り、途中の智頭で降り、あとは国道53号。奈義山のふもとを通る。

夜8時前。鳥取から1時間半で、津山に着いた。高速道路ができ、ずいぶんと近くなったものだ。

津山は昔の国でいえば、美作(みまさか)である。以前、転勤で岡山にいたころ、何度も来たところ。

これで、私にとって未踏の地であった、丹後、但馬、因幡(東部)の旅は終わった。
今回は海岸線だけの駆け足だったが、日本海側独特の文化、風土に接することができた。いつか、今回行き逃した、ちょっと奥に入った温泉地めぐりなども、できたらいいなと思う。

(終り)

次回は、津山について書いてみたい。

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田中全(ぜん)

Author:田中全(ぜん)
四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃんです。

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