唐津 侘びとさび

 11月21日朝、博多から唐津に向かった。いよいよ、この旅の最終目的地だ。胸が高まる。

 西に向かい、姪浜から都市高速に乗る前に、インター近くの障害者支援施設「工房陶友」に立ち寄った。ここでは器などを窯で焼いて販売している。ここの陶芸教室に、私の妻が通っていたのが縁で、代表の大脇友弘さんとは、いまFB(フェイスブック)友達になっている。年末恒例の「陶友祭」向けて、追い込み作業中であったが、妻は以前お世話になったみなさんに会え、感激。馴染みのある器をたくさん購入した。これからも、九州やきのも巡りでは、欠かせないところになった。

 都市高速は、隣の前原まで延びていた。いったん一般道に降り、佐賀県に入ると、新しく西九州自動車道ができていたので、終点、北波多インターまで車を走らせた。ここにある岸岳の麓が唐津焼のルーツだ。朝鮮から連れてこられた陶工たちがここに窯をつくった。

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 唐津では最初からお付き合いのある浜本洋好さんを訪ねた。その後、東京の個展ではお会いしたことがあるが、唐津でお会いするのは17年ぶり。今年の東京での個展から帰られたばかりであった。個展直前に窯出しをしたので、作品もたくさんあった。私の好きな斑唐津や朝鮮唐津のぐい呑みや徳利が、展示室だけではなく、作業部屋にも見事に並べられていた。ツバをぐいっと呑み込む。息が止まりそうであった。
 浜本さんも歓待をしてくださり、約3時間たっぷり、作品を眺め、さわるなど、楽しませてもらった。どれもこれも、ほしいものばかりで、選ぶのに苦労をしたが、酒器や皿、椀などをいただいた。

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 そのあと、唐津駅前の市中心部に出た。唐津焼協同組合の展示場や、古い商店街の中にある唐津焼販売店などを、暗くなるまで梯子した。以前と違うのは、地元でも唐津焼を観光資源として重視し始めたようで、各窯元などをていねいに紹介するパンフなどもできていた。作家の数も、だいぶふえていた。

 駅に近いホテルに泊まり、翌22日は、朝、鏡山に登った。唐津の町と虹の松原、玄界灘を一望できる。唐津湾に浮かぶ城、おむすびのような高島などが手にとれる。玄界灘は太平洋とは違う、濃いブルー。
唐(中国)や朝鮮につながる津(港)であったここは、異国のようでもあり、また日本の原点のような城下町。底知れぬ、深さと渋さ。侘びとさびの世界に通じている。自分はやはり日本人なのだ・・・この雰囲気が身にしみこむ。

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行政としての唐津市は、平成17年、松浦半島一帯の8町村と合併したが、唐津の名はそのまま残っていた。中村市はたった1市1村の合併であったのに、四万十市に名を変えた。残念なことだが、住民意識の底の深さが違うのだろう。唐津焼の古い窯跡などは、旧唐津市内だけでなく、松浦半島一帯に分布しており、いまの窯元や作家なども同様に広く点在をしていることからすれば、大・唐津市の名前は歴史に裏付けられた、ピッタリの名前だと思う。

旧鎮西町の窯を訪ねたあと、呼子の港に出た。朝市は終わっていたが、お昼の時間になったので、名物のイカ丼を食べた。とれたてのイカを、その地で食べることほど、贅沢なものはない。

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玄海町(原発がある町。ここだけ合併をしていない)の窯にも立ち寄ったあと、旧相知町へ向かった。ここは歌手、村田英雄の故郷で、その記念館がある。それよりも、蕨野の棚田を訪ねた。全国に棚田は多いが、ここの棚田が名実ともに規模日本一。重要文化的景観にも指定されている。麓の集落から、峠道に添って、複数の谷ごとに網をかけたように棚田が広がっている。日も傾き、暗くなりかけており、帰りの時間が迫っていたので、ゆっくりと見られなかったのが残念。しかも、稲が刈り取られたあとの、寂しい景色であった。いずれあらためて、早苗や稲穂の季節に来てみたい。

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山を降りれば、すぐに多久インターであった。夕方5時近かった。ここから長崎自動車道に乗り、久留米を経て、来た道の大分自動車道に入り、別府、大分から佐伯に着いたのは8時ごろ。高速に乗ればアッという間だ。
佐伯からはフェリーで3時間20分、宿毛着深夜0時過ぎ。中村の家には1時着。
4泊5日、「九州やきのも 思い出さがし」の旅が終わった。

唐津を最後にしておいてよかった。
やはり、カラツ(やきもの)は唐津であった。
侘びとさびの世界へ、これからも何度も行くつもりだ。
 

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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