TPPと高知県知事

 尾﨑正直高知県知事は、12月15日、県議会での質問に答える形で、「米国のトランプ次期大統領がTPPからの脱退を表明し、発効が不透明となっているが、国が承認案・関連法案を成立させたことは、自由貿易拡大に向けた日本の姿勢を世界に示すもので意義がある。」と述べた。

政府の主張そのまま、コピペである。

尾崎知事は、これまではTPPに対しては、やむを得ないというようなニュアンスだったとはいえ、曖昧な言い方で逃げてきた。なのに、政府が窮地に追い込まれて、恥の上塗りのような開き直った言い方をしている今になって、ここまではっきりと言うのは、政府に助け船を出して、いい顔を見せたいというのがミエミエである。

また、あきれた発言で高知県の恥を全国にさらした、地元の山本有二農水大臣を弁護してやりたかったのだろう。

尾崎知事は、一方で、TPPの「負の側面」にも触れ、高知県のような、中山間地域が多く、高齢化が進む地域の農業などが不利とならないよう、政府に地方の実情を訴え、きめ細かな対策を求めていく、とも述べている。

しかし、これは言い訳にすぎない。

TPPが掲げる「自由貿易」とか「成長戦略」とは、強いものがより富み、弱いものがより貧しくなる、弱肉強食を加速化していくものである。

戦後一貫して続いている、中央と地方の格差、東京一極集中は、自由競争の名のもとに、労働力を都会にシフトさせるために、地方を切り捨ててきた結果であり、その構図はいまも続いており、さらにTPPで地方が決定的ダメージを受けることは明らかである。

いまの「地方創生」もそうであるが、政府は、これまでも、その都度わずかばかりのカネをばらいて、問題の本質をぼかし、地方の不満をたくみにコントロールしてきた。

TPPは、「正の側面」とか「負の側面」とか、分けて考えること自体が間違いである。本質は何なのか。高知県のためになるのか、どうかで真剣に考えるのが知事の責務である。

元財務官僚である尾﨑知事は、政府がいう地方対策が言い逃れにすぎないこと、そんなことはわかっているはずである。わかっていながら、政府擁護の発言をするのは、県民への背信である。

尾崎知事は、中山間地域対策では県の独自政策にも取り組んでおり、それはそれとして評価できる面もある。

しかし、そんな県の独自政策と正面から対立するのがTPPである。ならば、なぜ堂々とTPP反対と言えないのか。

県民と政府に対して両方に甘い顔を見せようとする。そこに矛盾がある。

伊方原発再稼働容認しかり、安保法案賛成発言しかり。
訳のわからない理屈をこねまわして、トタンに端切れが悪くなる。

県民の利益を代表するのが知事である。
政府にも堂々とモノが言えないのでは、知事の資格はない。

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Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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