安岡良亮 一族の墓(2)

 羽生山の安岡家墓は、先に書いた安岡家子孫女性(良亮弟良哲のひ孫)に案内してもらった。羽生山は中村の町中にあり、市街地の目の前である。

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安岡(良哲)家を継ぐ直系男子(墓地管理者)は県外におられるが、永く帰ってこられていないということで、墓は草木に覆われていた。

持ってきた鎌で刈り払うと、中央に納骨堂と、そのまわりに並べられた古い墓石が現れた。納骨堂は昭和52年安岡隆一建立とあり、扉を開けて霊誌板を見せてもらった。

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家族の名前も含まれているが、当主を古い順に並べると、隼太(別名周蔵、弘化4年=1847没)、良輝(故五郎、明治5年没)、良哲(明治30年没)、友衛(大正10年没)、隆一(昭和62年没)、亮(平成19年没)となっていた。隼太~友衛は、写真の通り、隅に墓石も並べられていた。

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安岡家系図によれば、隼太は源蔵の子。源蔵(寛政7年没)の墓石は間崎にあるので、安岡家は隼太時代に中村に戻って来たものと思われる。

子孫女性が言うには、母(友衛娘)から聞いた話によれば、間崎にいたころ、四国遍路に一夜の宿を貸したさい、お礼にということで、「虎胆丸」(体毒下し)なる薬の作り方を教えてくれた。以降、その薬づくりを家業として、中村に戻って来た。確かに、先に紹介した「安岡家覚書」にも、貞助のころの話として、そんな記述がある。中村では名の通った薬になったという。

安岡家は間崎時代、農業を営みながらも「郷士」として認められていた。中村に戻ってきた場所は土居=武家屋敷の一角、いま旧邸跡碑が建っているところ(丸の内)、大神宮の南側と思われるが、良亮以降の良哲、友衛の家は大神宮北の郡代官所(現刑務所)隣であったというから、当時は、大神宮をはさんで、本家、分家に分かれていたようである。

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「中村市史」によれば、隼太の子良輝(故五郎)は、弓術の達人であり、10才下の樋口真吉に目をかけ、影響を与えた。 

良輝の子が良亮であった。良亮も九州に修行、遊学をして文武を極め、「漢学塾帰子周堂」を開き、多くの門弟を集めていた。

良亮は、樋口真吉らとともに倒幕運動に参加。通常は、家の長男は地元に残るが、弟の良哲は眼が悪かったため、兄のほうが東征に参加した(迅衝隊半隊長)。東京板橋では、千葉流山で捕縛された新選組近藤勇に斬首の刑を課した。そのまま会津に転戦している。

凱旋帰国後は、明治新政府に仕えるため、家族を引き連れ再び上京。今の群馬県、三重県を経て、明治9年、初代熊本県令(知事)の時、不平士族神風連の乱で斬られ、命を落とした。秋水はのちに、「俺の親戚の出世頭は良亮伯父だった」、と無念を語っている。

遺された妻千賀は、慶應義塾に入っていた長男の雄吉だけを東京に残し、秀夫ら下の子供たちをつれて中村に帰ってきた。その家に親戚の子どもたちも集まってきて、にぎやかに遊んだ。その中に幸徳秋水がいたことは有名な話である。秋水は秀夫の1歳上であった。

雄吉は2度洋行。後藤象二郎による大同団結運動に加わり、入獄したこともあるが、その後代議士に。秀夫(慶応義塾出)は時事新報主筆をし、中国関係の本なども出したが、兄弟とも秋水とは思想を異にしていた。しかし、秀夫は秋水処刑後の引き取りに立ち会っている。秋水のことを書いた回想録「雲のかげ」もある。2人とも中村に帰ってくることはなかった。

中村の安岡家を継いだ良哲は、維新後は地元殖産事業として、自宅前畑で桑の栽培実験を繰り返すなど、養蚕業の普及につとめた。「中村市史」には、幡多郡の養蚕業の草分けとして詳しく紹介されている。良哲の妻は、小野家出で秋水母多治の妹であった。

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良哲の息子友衛(秋水従弟)は医者になった。秋水母多治の最期を診たのは友衛。秋水が最初の妻(西村ルイ)を離縁するさい、妻実家の福島郡山に送っていったのも、東京で修学時の友衛であった。

友衛の息子隆一、孫亮はともに中村を離れていたが、没後は安岡家納骨堂の中に帰って来ている。

良亮妻千賀と長男雄吉の墓は神奈川県藤沢市にある。

なお、良亮の娘英(ふさ)は、東京で夫(小野道一、元高知県会議長)を亡くしたあと、中村に帰ってきて、明治38年、中村で最初の幼稚園設立に貢献(園長)したことが、「中村市史」に書かれている。墓は市内太平寺にあったが、いまは撤去されている。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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