議会の節度

 土佐清水市議会の見識が問われている。
 12月議会において、市長が提出した副市長選任議案をまたもや否決した。9月議会に続いて2度目の否決である(2度とも6対7)。高知新聞で大きく報道されている。

 問題と思うのは、否決の明確な理由がないこと。副市長候補者は、誰もが知っている、直前までの市現役課長であり、人物に問題があるなら仕方がないが、そうではないらしい。副市長不在がこのまま続けば、円滑な市政運営にますます支障をきたし、一番困るのは市民である。議会は市民に対してどう説明するのだろうか。

 市長選挙直後の人事案件はむずかしい。選挙戦が激しいほどそうだ。議会で理屈が通らなくなる。隣の市のことではないかと言われるだろうが、私も市長時代、同様の経験をさせられただけに、書かずにはおられない。

 土佐清水市では今年5月に市長選挙があり、三つ巴の戦いで、新人候補が現職らを破り当選した。どんな選挙でも候補者も支援者も必死でがんばる。当然のことだ。市長選挙おいては、たいていの議員はいずれかの候補を応援する。その候補が当選すればいいが、落選をすれば悔しい思いをする。これも当然だ。しかし、その悔しさには、節度というものが必要である。

 土佐清水市では、当選をした市長よりも他候補を応援した議員の数が多かった。

 議会は主に市長(執行部)側が提案をする議案を審議するチェック機関であるから、賛否両論あるのは当然であり、予算を伴う議案等が否決されることはたびたびある。ただ漫然と賛成をするのではなく、厳しい意見を述べることは、むしろ議会が正常に機能をしていることの証でもある。

 しかし、副市長、教育委員などを選ぶ人事案件は他の議案とは性格が異なる。提案権は首長にしかないのだ。首長が提案し、議会はそれに同意をするか否かである。否決はできても、ほかの候補者を立てることはできない。

 他の議案ならば、議案を修正したり、最初から議員提案として別個の議案を提出ができる。しかし、人事案件については、それができないことに、地方自治法で定められている。

 その理由は、執行機関を円滑に運営していくためには、人と人の関係はきわめて重要であることから、首長に裁量権を与えているのである。しかし、問題のある人物が指名されることを防ぐため、そのチェック機能を議会にも与えている。このチェック機能がしばしば乱用される。

 よく考えてほしい。市長が選挙で当選をしたということは、人事案件についても市民から負託を受けたということである。その負託に対して、明確な理由もなく否決をするということは、市民の総意を踏みにじるということである。先の国会と同じ、数の横暴である。

 今回の背景にある裏事情は知らないが、たとえば議会の多数派に他に推薦をしたい人物がいるということならば、それは市長の裁量権を否定することになる。4年間がまんして、次の選挙でがんばればよい。

 また、事前に相談がなかったとか、根回しが足りない、とかになると議員のメンツの問題であり、何をかいわんやである。

 新聞報道によると、2度目の否決の理由に「前回と同じ者を提案してきた」ことがある。市長は本来就任直後の6月議会に提案をすべきところを見送り、9月議会に提案。その後も、推薦理由を何度も説明し、そのうえで納得のいく反対理由が出てこないことから再度提案をしたのだろう。だから、そんなことは理由にならない。

 選挙後にある程度の「しこり」が残ることはやむをえないが、ここまで来ると単なる「いじめ」にしか見えない

 そんな議会ならばいらないと、市民から見放されてしまうのではないだろうか。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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