台風の恵み

台風5号は無事去った。迷走台風でこの1週間やきもきしたが、雨風ともさほどではなく、大山鳴動して・・・高知県内ではけが人一人も出なかった。学校も夏休み期間中のため、影響がなかった。

私は家の前の畑で野菜をつくっているため、風で倒されることや、水に浸かることを心配していたので、ほっとしている。去年は、だいぶ倒された。

だから、いまは台風が近づくと、厄介なものが来たと思っている。しかし、子どものころは、そうではなかった。

台風が近づくと、わくわくした。まず一番は、学校が休みになるから。台風のコースがそれた時は、がっかりした。

二番は、遊びが増えるから。必ず、風車を作った。竹を割って、ナイフでプロペラを削った。キリで穴をあけ芯棒を差し込む。それを竹筒に入れると出来上がり。

堤防にあがり、風に向ければ風車はブンブン回る。ブルブル握る手に伝わる感触がたまらなかった。

濁流あふれる川も迫力があった。スリル満点で、胸が高鳴った。

台風が去ったあとの川の淵では、チヌがたくさん釣れた。大人は、竹の先にミミズと針をたくさんつけた「ズズグリ」というやり方で、ウナギをたくさん引っ掛けていた。田んぼでは、逃げ場を失った大きな鯉をつかまえた。

台風が近づくと、大人たちは稲の刈り取りを急いだり、川舟が流されないよう岸に縛り付けたり、大変だったろうけれども、そんな大人たちも結構台風を楽しんでいるようにも見えた。上流からは、材木や生活道具などの一部も流れてきた。

ここらでは、昔から台風が来るのも、水に浸かるのも年中行事。1年間を通して川と付き合う中での一部にすぎない。

川の怖さも、ありがたさも、知り尽くしている。危ないところも、逃げ方も知っている。だから、台風で死者が出たという話は聞いたことがない。

こんな川との生活の中で、沈下橋という独特の形がうまれたのだ。

台風が来ると困る。
しかし、まったく来ないというのも寂しい。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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