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いのちの仕舞い

映画「四万十 いのちの仕舞い」(溝渕雅幸監督)をみた。

四万十市(中村)で診療所を営む小笠原望医師の医療活動をもようを紹介するドキュメンタリーで、昨年市内で全国先行上映され、その後2月にも上映されたが、他の予定とぶつかり、見逃していた。

そんな中、7月7日、四万十町(窪川)で自主上映会があったので、でかけた。小笠原先生の舞台挨拶もあるということもあってか、大雨の中であったが、たくさんの人が集まっていた。

小笠原先生は地元では誰もが知る人気医師である。「人気」というのは、当然ながら丁寧で親身のある診療から絶大な信頼を得ているという意味がメインであるが、それだけでなく、話(講演)がうまい、時にはギターでうたう(高校のころ<私の1年上>から作詞作曲をしていた)、泣かせ笑わす、川柳の会を主宰、エッセイも書く(朝日新聞販促冊子に9年間連載中)という、マルチタレント並の活動をされているからだ。

そんな超多忙な体にもかかわらず、四万十市民病院が医師不足で困っていた時には、短期間ではあったが、応援してもらったこともある。

私の両親もかかりつけ医として大変お世話になった。(最期は病院、施設で送った)

そんなことから、私は他の多くの人よりは、医師小笠原望については、知っているつもりである。

映画の中ではどう描かれていたのか。

監督スタッフは往診に同行。患者に向き合う姿を追う。やさしく声をかける先生。カメラが密着する。

一番多く登場した患者は、私の近所でよく知っているおばさんだったので、身につまされた。先生を信頼し、自宅で家族に見守られ、満足そうな「いのちの仕舞い」だった。

施設で「仕舞い」を迎えた患者も紹介された。家族の涙。

先生が患者と向き合うシーンの合間合間に、四万十川の四季折々の風景が描き出される。菜の花、桜、アユ漁、シラスウナギ漁、ホタル舟。

うちの川はこんなに美しかったのか。
普段の川とは違う川がスクリーンにある。

患者の姿と四万十川。

小笠原医師の言葉が紹介される。
「人のいのちも自然の中のもの」

映画の主役は二人いる。
小笠原医師と四万十川

どちらを欠いても、この映画は成立しない。

小笠原先生のように訪問診療を行なう医師は少なくなったとはいえ、全国にまだ多くいるだろう。都会には、訪問診療だけを専門に行っている医師もいると聞く。

医療だけをテーマにした映画なら、どこでだってつくれる。
むしろそうのほうが医療問題の核心を突くことができるかもしれない。

しかし、この映画は四万十川でしかつくれなかったのだろう。
少なくとも、溝渕監督にとっては。

それは、四万十川が「最後の清流」として有名になったから。多くの人(特に都会の人)に、美しいイメージをもたれているから。

映画のタイトルは「四万十」。

語りでは「四万十川」と「四万十」が使い分けられていた。前者は川の名前、後者はこの周辺地域の地名として。

しかし、ここらには四万十という地名(固有名詞)は存在しない。ここに住む者のだれも、四万十というという言葉を発することはない。

使うのは、例えば、中村であり、窪川である。これが地に根を張った名前、馴染んだ名前、生活そのものである。

四万十とは、県外の人など、よその人が使う言葉。

四万十市のことを指す場合、四万十町のことを指す場合、また漠然と四万十川流域全体(本支流)を指す場合、いろいろある。しかし、はっきりした定義は誰もできない。霞のように、朦朧としている。綿毛のように、ふわふわ飛んでいる。

映画では、肌触りのある地名は出てこなかった。(四万十市=旧中村市という字幕はあったが・・・)

小笠原医師はいつもと同じ先生なのに。
ここはどこなのだろう。

きっとメルヘンなのだ。

http://hatanakamura.blog.fc2.com/blog-entry-252.html

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Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
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