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四万十川 川漁師の叫び

脱原発をめざす首長会議 学習会 「 四万十川を守れるか 」  
2018.10.27 於 四万十市立中央公民館

現地報告 黒澤雄一郎「四万十川の生態系の現状」
以下 講演録 です。

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黒澤雄一郎と申します。

すごい人ですね。最近川ばっかりにいるものですから、これが魚ならば大喜びなのですが。(笑い)うまくしゃべれるかどうか。

私はいま四万十川で川漁師をやっています。きょう私が呼ばれたのは、原発事故をきっかけで、埼玉県からこちらに移住してきているからだと思います。

よく聞かれます、なんで、埼玉県なのに? と。

去年の新聞で書かれていたのですが、福島から300キロ離れた長野県でとれるタラの芽が出荷停止になったと。

結構広範囲に汚染されているようで、最初私はあんまり気にしていなかったのですが、うちの息子が鼻血を出し始めた。まわりもそうで、隣の子は血が止まらなくなり、耳鼻科に行ったら、花粉症だと言われた。おかしいなと思った。

心配している家族の人たちとお金を払ってセシウム濃度を調べたら、びっくりするほどの数値が出た。私の命に代えても、かわいい息子です。ここには住んではいられないと思いました。

そこで、余儀なく、移住先をさまよい探す旅に出た。あちこちに行って、半年ほどたち年末近かった時、岐阜県まで行った。

疲れてしまい、ストレスがたまり、このままならおかしくなると思った。

ふとここまで来たのなら、自分は釣りとか狩猟とか趣味でやっていたので、自分の癒しに、四国の川が見たい、高知の川、四万十川が見たいと思った。

岐阜県からそのまま四万十川に来た。そこで見た四万十川は、すっごい印象だった。こんな川がまだ残っているのか。強い衝撃を受けて、涙が出ました。

仕事もどうかるかわからなかったけれど、それまでは半年悩んだのに、一日でここだと決めた。

それから、いろんなことがあって、川漁師になった。この間、いろんな人に助けられ、なんとかいまこうして、ここで生きていられます。

きょうは原発関連の集まりで、四万十川の生態系について話してほしいと頼まれていますが、その前に、せっかくですから、伊方原発について、少し話をさせていただきたいと思います。前の講師と違う視点で。

重大事故が仮に起こらなくても、伊方のような古い原発でなにか異常があったとき、黙って内緒でベント(排気操作)などされたら、どうなりますか。

四万十市は一次産業が豊です。西土佐では日本一みたいな栗をつくっている。中村ではアオノリが採れる。あんな薫り高いアオノリなんて日本中探したってない。

放射性物質には移行係数というのがあって、作物によって取り込みやすい、取り込みにくいというのがある。私は専門家でないので・・・あるそう、です。

お米とかニュースで知られていますし、静岡県のお茶も高い。神奈川県でも福島から300キロ離れていますが、事故当初、アユが汚染されていた。福島の湾の海水魚よりも高い汚染。

川の藻類というのが、これまた移行係数が高い。アユは藻を食いますね。これしか考えられない。

栗などの果実、キノコ、藻類のアオノリもそうでしょう。伊方原発があって、この地域にはいいことがない。なんとか、止める方向に行けばいいなと、四万十川を愛する自分としては、思っています。

四万十川という川は、200キロ近い大河ですよね。最後の清流という並びで言われている川に、長良川もあります。河口堰がつくられ、ひどいことになっていますが、あの河口域にはコンビナートがあります。タンカーも着く。

この四万十川の河口には、アオノリが着くのですよ。それを僕らは冬採って、洗って干して、そのまま食べられるのですよ。河口域ですよ。海からすぐですよ。

東京でいえば、隅田川ですよ。こんなところで、こんなものができる大河というものはもうないのですよ。私はよそ者だからわかります。

本当にすばらしい川です。この川は。なんとかして、この川が永遠に続いていってほしいと思っています。これを強く言いたいです。

なぜならば、私はここで川漁師になってたった7年です。7年間のことしか、実体験としては知らない。

しかし、川漁師の先輩、師匠などにきくと、昔はこうではなかった、変わってしまったと言われる。私が来てからたった7年の間だけでも、だいぶ変わったと思います。

来て2年目のころ、アオノリを手で掻いている時、取材を受けたことがある。そのころの写真がありますが、ノリにはこぶし大の石がついていた。川底にもごろごろ石があり、ノリが流れになびいていた。

そこと寸分違わないところ、同じ場所がいま砂にしかない。そんな場所は多い。これは正常ではない。

砂は、石と石の隙間を埋め、そこに住む生物の住家を奪う。また、川底からわいてくる伏流水も弱くする。

四万十川は長い距離を流れてきて、支流もたくさんある。川底からもいっぱい水がわいている。

流域の人口も増えていない、農薬も以前ほどには使っていない。そんなに汚れる要素はないのに、だんだんと汚れてきている。

それは伏流水が止まっているとか、山が原因だとか、言われており、私は専門家ではないので、はっきりしたことはわかりませんが、水量が減り、川が細くなっている。

どんなにきれいな川でも水の量が減れば、水の力が弱まるのだから、このことを真剣に考える時にきているのではないかと思います。

いろんな人が意見を出し合って、こんなすばらしい川をどうして残していくか。ぜひ、考えてほしい。

一つには、川に土砂が増えているという問題があると思います。この前、西日本豪雨ですごい被害がでましたね。ダムが放水して問題になっています。

水は山から川に流れます。その水がどう流れているか。いま、全国どこの川に行っても、護岸工事がやたら多くなった。川だけでなく、水路や田んぼの畦など、徹底して護岸工事。洪水であふれる心配がないところでも、工事をしている。

流れをまっすぐにするのは、洪水をおこなさいためにやるのであり、治水の歴史からみて、それが有効な部分はあるのでしょうが、一方で必要でないところまでやってしまうと、下に流れる水のスピードは速くなります。

四万十川の漁師さんにきくと、水が来るのが早くなったと、みんな口をそろえて言います。

私の師匠で四万十川の伝説的川漁師といわれる一藤貞雄さん(きょうもお出でいただいています)によると、魚や川の生物は、水がちゃんと働いている(活動している)ところで繁栄してきた、と言います。川をまっすぐに流すと、そんな環境がなくなる。

埼玉から以北で私は遊んでいましたが、あちら川は護岸工事が多く、魚を釣るポイントがありません。同じような流れだから。そんなところに、大きな岩がゴロンとあると、その下に魚がたまっています。そこでは、必ず水が動いています。

四万十川の汽水域は広大できれいなので、小さなプランクトン、魚や小エビなど
が育ちます。最近危惧しているのは、ここに砂が増えています。

平成元年の写真をみせてもらったのですが、当時は、ここにアマモという藻がびっしり生え、小魚などが育っていた。しかし、いまはアマモを見たことがない。

国交省のほうで、アマモ場を再生する事業もおこなっているようですが、なぜこんなに砂が増えたのか、その原因などを、みなさんも考えていただきたい。

この地域は四万十川があってこそだと思うのですよ。私たちのような移住者も来るし、最近は海外かも観光客が多いですよ。

すごくいいことを言った魚屋さんがいます。あまり大きな魚屋ではありません。

四万十川の魚のような高い魚は俺のところでは扱えないけれど、四万十川と聞いただけで心が晴れちまったよ。店では扱えないが、個人的に買わせてもらうよと。

四万十川は、そういうイメージなのですね。だから、ぜひ、これを守っていっていただきたいと思います。

日本は森林が多く、川が多い国です。水が豊かで、川が多い。私は海外にも行きましたので、強くそう思います。

なんで流路100キロを超える大河で、ダムという定義を越える堰堤がない川がこの四万十川しかないのか。

私はアウトドアが好きなので、それ自体に絶望している。

しかし、四万十川はけた違いに、川という部分が健全な川です。

日本では上流に行くときれいな岩場があり、イワナやアメゴが釣れる川はたくさんある。しかし、そこにはウナギやアユはいない。上流と下流で分断されているからです。

しかし、四万十川では、はるかかなたの西土佐のほうまで、スズキがアユを追ってのぼるし、チヌもいる。

本当に~!! こんな健全な川はありません。

私は、ワ~ワ~、ギャ~ギャ~しか言えませんが、みなさん、ぜひ、知恵を出し合って、この四万十川守ってください。私もここで川漁師を続けたいと思います。

時間になったようなので、これで終わります。
きょうはありがとうございました。(終)


img004.jpg   高知新聞 2018 10 28
             高知新聞2018.10.28

学習会「四万十川を守れるか」の概要は本ブログ 2018.10.30 で紹介しています。
http://hatanakamura.blog.fc2.com/blog-entry-472.html



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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
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