FC2ブログ

幸徳駒太郎の生家長尾家について(2)

3. 幸徳正夫さん長尾家墓参

さっそく幸徳正夫さんに報告をしたところ、それは本当かとビックリ。お父さん(正三氏)からは長尾家のことは何も聞かされていなかったし、父も知っていたのかどうかわからいとのこと。

九月十六日、正夫さんは長尾家への墓参と挨拶がしたいとご夫婦で帰省された。顕彰会宮本会長、尾﨑副会長、私の三人がお供して長尾家に向かった。

長尾正記さんは笑顔で開口一番、「顔を見てすぐわかったよ」。
確かに、血は争えないものでよく似ておられる。

長尾正記さんと幸徳正夫夫妻

正夫さんご夫妻は長尾家墓に手を合わせられた。家に上がり仏壇にも。じっと静かに。

話の中で、お二人が昭和十七年度生まれの同学年であることがわかった。親しみがぐっと深まる。

家の前は四万十川。正記さんはアユもツガニも採るという。中村かが車で三十分。上流すぐは旧西土佐村。正夫さんはこの辺まで来たのは初めとのこと。

別れに正記さんは「また帰ったら寄ってよ」と、おみやげに山で育てた栗をいっぱい正夫さんに渡してくれた。

正記さんは、中村の駒太郎墓も秋水墓も行ったことがないというので前もって、市役所で謄本をとってもらった日に案内をした。

駒太郎、秋水墓の前で 長尾正記さん

いつごろから途絶えていたのかわからないが、両家の親戚付き合いが復活したことをともに喜びたい。

次の秋水墓前祭からは、長尾さんにもご案内し、ぜひとも参加をしてもらいたいと思っている。(注、追記 墓前祭にはご参加くださった。)


 4.「義兄」ではない駒太郎

駒太郎が幸徳家に献身したことはよく知られている。

俵屋の後継ぎであった秋水が中村を飛び出し、自らの主義に身を投じ活動ができたのは駒太郎がいたからである。このことは秋水だけでなく、周りの者(師岡千代子、岡崎輝など)も書いている。

秋水は罰金を払えなくなった時など何度も駒太郎に援助を頼んでいる。駒太郎はその都度応えている。

秋水刑死直前、母多治が今生の別れに上京したさいも同行、その後堺利彦から秋水遺骨引き取りにも行き、中村で葬儀も出している。

こうした中、今回の調査で改めて確認をしたのは、駒太郎は秋水の「義兄」と書かれることが多いが、戸籍上では秋水の「義従兄(いとこ)」であるということ。

何度も書いたように、駒太郎は秋水の伯父篤道(父の兄)のほうと養子縁組をしているからである。大原慧氏本に整理されている幸徳家系図でも間違いなくそうなっている。

不正確な記述が流布している背景には、秋水自身が「兄」と書いていることがあると思う。しかし、これは当然のことである。

秋水は一歳で父を亡くした。ものごころがついた時には、伯父篤道夫婦が同居(二世帯同居)していたので、伯父の養子駒太郎は実質同じ家族であった。

戸籍の分類はあくまで形式にすぎない。

秋水の最大の恩人であり最も信頼を寄せていた駒太郎は、秋水にとっては生涯「兄」であったのだろう。

駒太郎は秋水刑死二年後の大正二年、五十八歳で没している。
夫婦の墓は秋水墓の左隣にある。


5.その後の幸徳家

現在これら秋水一族で幸徳姓を名乗っているのは駒太郎の子孫だけである。

秋水には戸籍上子はいない(実子小谷ハヤ子はいる)。実兄亀治(篤道養子)の一人息子幸衛の二人の子はアメリカ(前号投稿)。長姉民野(福島)は子なし。次姉寅(谷川)は娘一人。

篤道は駒太郎の嫁は民野にしたかったが、駒太郎はこれだけは固辞。奉公人としてのけじめにこだわる駒太郎の人柄があらわれている。

だからこそ駒太郎は幸徳の名を残すことに腐心した。子二人で富治がいたが、姉明にも婿(武次郎)をとっている。

実質幸徳家を継いだ富治は南国新聞を立ち上げるなど自由人的に生きた。武次郎も入野村で酒造業を始め村長にまでなった。ともに根を守った。武次郎の子は男二人(勇、正三)で正夫さんは正三の次男。(富治の一人娘三春は別姓池に)

敗戦翌年、富治が公然と秋水墓前法要をおこない、すぐに秋水名誉回復の輪が広がった背景には、俵屋の暖簾を守った実直温厚な駒太郎の人柄から一族が秋水顛末以降も周りから目立った迫害を受けなかったことが大きい。

 そんな大功労者駒太郎はどんな顔をしているのか、写真が残っていないのが残念である。(終り)

長尾家で 左正記夫妻、右幸徳正夫夫妻


「大逆事件の真実をあきらかにする会ニュース」
58号所収 2019年1月発行



  





コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
フェイスブック(FB)もしています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR