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四万十川メガソーラー計画の背景(2)

今回計画の中身を検討したい。

9月13日佐田、14日三里と、地元2カ所で市が(業者ではない)事業説明会を開いた。この席で配布された資料にもとづく。

業者から市に対して最初の申し込み打診があったのは、今年3月29日で、2回目が5月9日。2回目には弁護士を連れてきている。以降、7月まで、両者で協議、すり合わせがおこなわれている。

肝心の業者名が資料に書かれていないが、説明会の口頭で、「三里太陽光発電合同会社」、「島の宮太陽光発電合同会社」の2社の名前が出た。しかし、どんな会社か詳しくは公開されていない。(ほかに、コンサル業の太陽光企画開発(株)が関与している。こちらは本社東京新橋、資本金300万円、従業員3人)

前回申し込んできた(株)新昭和(千葉県君津市、資本金10億円、グループ従業員1100人)の名前はない。今回完全撤退したのか、バックにいるのか実態不明。いずれにせよ、今回の2社はペーパーカンパニーであり、その裏に本命がいるものと思われる。

なぜ、市はこれらのことを明らかにせず隠すのか、不自然である。

配布資料は3セットで、本文8枚、資料編1(勧告)7枚、資料編2(不許可通知)4枚に分かれている。

まず、本文2ページに、計画概要図が書かれている。中村生コンが所有する土地の面積は8.3ヘクタールだが、本事業に使う面積は4,0ヘクタールであり、かつ「三里太陽光発電所」(2.7ヘクタール)と「島の宮太陽光発電所」(1.3ヘクタール)に分かれている。事業者名も同名の2社があがっている。

img063.jpg   img064.jpg

なぜ2社に分けたのか理由は不明であるが、配電容量などによる法的規制等があるのかもしれない。(市からの説明はない)

以下、本文では、過去2回の申請において不許可にした理由(景観阻害、盛土、反射光など)を説明したあと、今回申請ではこれらがクリアーされたとしている。

1. 景観阻害 → 遮蔽する。
2. 盛土 → おこなわない。パネルの足を高くする。
3. 反射光 → 低反射のメーカーのものを使う。

問題は1.である。パネルの周りに木や竹を植えて見えなくするという。

川の対岸に県道が走っているので、そこから見えなくするために16メートルの木や竹を植え、隠すという。

計画書では、竹342本、高木1012本(シイ、カシ、クスノキ)、中木1806本(カシ、ヤブ、ニッケイなど)、低木1491本(ウツギ、マルバなど)、計4651本となっている。

計画図面ではこの通り。

img065.jpg   img066.jpg

市が言う「遮蔽」の根拠は、四万十川条例(高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例、2001年3月27日高知県制定)の「施行規則」の中の「許可制度」。

その4章「許可の基準(生態系と景観の保全)」、3-2「工作物の新築、増築、改築、移転又は撤去」の中の「景観の保全⑤太陽光発電施設の遮蔽」に、こう定められている。

「行為地が主要な眺望場所から見えるものにあっては、行為地の出入り口を限定し、当該出入り口以外の行為地の範囲は、周辺の景観と調和するよう植栽又は木柵等により遮蔽措置を講ずること」。

「太陽光発電施設について、その特性上、周辺の景観への影響が大きいことから、施設が直接主要な眺望場所から見えないような、遮蔽措置を行う。主要な眺望場所は、県内外から訪れる観光客の視点や地域住民の生活の豊かさを確保することから観光資源となっている四万十川の本川と本川沿いの道路とした。」

以上は、高知県ホームページトップ画面 →組織から探す →林業振興・環境部の「環境共生課」 →左欄「その他」上から2段目「高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例施行規則(平成13年高知県規則第16号)の一部改正について」 →8.許可申請書様式 「四万十川条例における重点地域の許可制度」 の下段、「許可制度の概要に加えて許可基準やQ&Aなど申請者向けの「重点地域における許可制度の手引き」(平成30年3月発行)、分割ダウンロード第4章許可の基準(生態系と環境の保全)」 (70~72ページ)へとアクセスできます。

http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030701/2018kisokukaisei.html

確かに「遮蔽」すれば許可する、と書いている。しかし、県の「手引き」でも見本として示されている写真は個人の家の庭の遮蔽の板塀や生垣である。

今回問題なのは、果たしてこれだけの広い面積の遮蔽が可能なのか? ということ。計画書では竹や木で隠すと言う。

しかし、計画書にある4651本の根拠は?
それだけ多くの木や竹の調達が可能なのか?

また、高さ16メートルが必要と試算しているが、そんなに高い木や竹が直ぐに根付くのか。

これについては、市は「わからない」、「造園業者にも問合せていない」、という。無責任。

常識的に考えて、そんな背の高い木や竹が直ぐに根付くことは考えられない。公園に大木を移植するさいは、何年も前から根の周りを掘り、縄で縛るなどして、木に慣れさせる準備する(「根回し」)。また、枝も払っておくので、移植後、枝が再び伸び、元の高さに戻るには、時間がかかる。

だから、仮に移植を試みるにしても、根が付くかどうかを確かめてから、本格工事に着工すべきであろう。

しかし、市は、移植と工事を同時並行的に進めることを認めるという。もし、根付かず、遮蔽が実現しなければ、「指導する」と言う。

このことについて県の四万十川条例を制定した所管、環境共生課に指摘したところ、「許可の判断は市町村に委譲しているので、市の判断です」と言う。所管として、これも無責任に思う。

私は移植そのものが問題だと思っている。根付かない木、仮に少し根付いたにしても、そんな根本軟弱な木が川べりにあれば、洪水のさい簡単に倒れ、流されてしまう。すぐ近くに佐田沈下橋があることもあり、川をせき止め、流れを変え、甚大な被害(人災)になる。

「遮蔽」については、小さい面積ならば可能だろうが、今回のような広大な面積で、しかも対岸の高い位置に県道が走っている場所では不可能である、と断言できる。

それと「四万十川条例」の基本理念、目的である「景観の保全」でいえば、いまの時代、ドローンを飛ばせば、パネルは丸見えである。そんな写真を見れば、みんな失望してしまい、誰も四万十川に来なくなるであろう。(許可基準にはドローンまでは想定されていない。風力発電問題もあり、早急に追加改定が必要であろう。)

四万十川にメガソーラーをつくって誰が喜ぶのか。業者と地権者だけである。

四万十市にとって、どんなメリットがあるのか。業者からわずかな税金が入ってくるだけである。それに比べて失うものはあまりに大きい。四万十市だけでなく、日本、世界にとって。

市側は言う。条例を満たしているのに許可を出さないと、業者から提訴されるリスクがあると。業者に同行した弁護士から、そう脅されたようだ。

しかし、訴訟リスクなら逆である。こんな荒唐無稽、絵に書いた餅のような計画で許可を出したら、許可差し止め→取り消し訴訟を受けるであろう。

要は「遮蔽」の解釈である。実現可能性のない計画ならば「遮蔽」とは言えないであろう。仮に申請を受け付けるにしても、「遮蔽ができるかどうか」「木や竹が根付くかどうか」を確認してから判断すべきであろう。

そもそも、業者が本気で「遮蔽」をする気があるのか、大いに疑問である。5000本近い木を捜し、車に乗せ運び、穴を掘り、植え付ける。そのためには、膨大な人とカネがかかる。これらはパネル設置コストに上乗せされる。普通、太陽光パネルは、空き地や屋根の上など、場所代がかからないところに設置されるのに、事業の採算が合わないはずである。経済合理性からみて、こんな計画は成立しない。なによりも、この辺には、それだけの大規模作業がおこなえる造園業者がいない。

説明資料では驚くべきことも書いているし、説明会でも言っている。

国の資源エネルギー庁が出している「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」においては、地域住民の理解を得られるよう努めることと書いているが、これは「推奨事項」であり、義務とはされていない。

四万十市の「行政手続条例」においても、「指導」とは「相手方の任意の協力によってのみ実現されるものである」「相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な指導をしてはならない」、と。

要は、今回「遮蔽」が出来なかったら、「行政指導」するが、それを相手に強制することはできない、とご丁寧にも言っているのである。

計画書に書いてさえすれば、その実現は問わないということを、最初から表明している。実質、相手のフリーハンドを認めているのである。勝手にどうぞという訳だ。

また、業者には許可が出てから説明に来させるとも。市はどちらの立場に立っているのか。

四万十市は「川とともに生きるまち」を看板にしているのではなかったのか?

なぜ、そこまでしてまで?

異常な圧力が市にかかっている。

結局、地権者に「配慮」しているから、こうなるのだ。それしか考えられない。
(ひとまず終り)

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Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
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