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大川村 住民直接自治 

10月15日、土佐郡大川村を訪ねた。目的は和田知士村長に会うため。

大川村は人口全国最少400人の自治体(離島を除く)であり、年々議員(定数6人)へのなり手が少なくなることへの対応策として、一昨年、将来議会を廃止し、住民直接自治をおこなうことができないか研究を始めると表明したことから、一躍有名になった。

大川村は昭和30年代には住民が4000人いたが、白滝鉱山(銅山)の廃止に加え、1977年、早明浦ダムができたことにより、一挙に減少した。

私は早明浦ダムまでは5年前行ったことがあるが、その上流は初めて。ダム湖に沿ってくねくね道を進む。

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途中、米軍訓練機が1994年、湖に墜落した地点があり、嶺北平和委員会が看板を建てていた。この辺りの上空はオレンジルートと言う米軍機訓練ルートになっており、住民は低空飛行の恐怖で脅かされている。

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30分くらいで役場に着いた。ダム湖になった川が合流している地点の山を削り取ったような狭い一角であり、隣に食堂兼旅館が1軒あるが、数えるほどにしか家がない。近くには、学校、保育所もあるようだが、見えない。

下の湖底には古い役場庁舎が沈んでいる。渇水でダム湖が干上がると、その姿を現す。まるで住民の恨みの亡霊のように。時々写真に出る。

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村長室で和田村長にお会いした。1時間ほどいろんな話を聞いたが、私の関心は当然ながら住民直接自治について。特に、あっと驚く問題提起で世間の注目を集めながら、1年後には、研究中断を表明した経緯について。

地方自治法では94、95条に、議会に代わって「町村総会」を設置できると規定している。しかし、詳細は書いていない。

村長は、当初問題提起したさいは、2年後に村会議員選挙が迫る中、将来議員になり手がなくなったさいの対応を研究しようとしたものであり、町村総会については触れておらず、周りが勝手に騒いだという。

しかし、村長の頭の中には、議会廃止→町村総会というシナリオを想定していたことは間違いないようであり、県や国(総務省)はあわてた。県は「大川村議会維持特別対策会議」を、国は研究者を集め「町村議会のあり方に関する研究会」を立ち上げた。

国の研究会は、地方自治法には規定しているが、果たして現在において町村総会開催が可能なのか、法整備を含めて半年間検討したが、現状では「実効的な開催は困難」として、「いかに持続可能な議会の姿を実現するか」の観点からの検討が必要、という報告書をまとめている。

県もこれに添ったのであろう。町村総会を想定した準備検討というよりも、そういう事態に追い込まれないような対策、すなわち議員のなり手が増えるような対策を支援するという方向で動いた。

産業振興策として、村が力を入れている「はちきん地鶏」の加工施設建設の支援などである。これに絡めて集落活動センターも設立した。和田村長はこうした県の支援については感謝していると言っていた。

結局、今年4月に行われた村会議員選挙では、定数6に対して7人が立候補し、8年ぶりの選挙になった。選挙の1年前時点で、こうした方向が見えてきたこともあって、村長は研究中断を表明したことになる。

和田村長の問題提起は、したたかであったと思う。世間から見捨てられてしまったような全国最少の村が一躍注目を浴びた。報道陣が村に殺到した。

議会を前提にした二元代表制が当たり前だと思っていた世間に、過疎、人口減少に悩む小さな自治体の実態を突き付けた。大きなインパクトであった。

しかし、だからこそ、たった1年間で研究中断にしたのか、なぜ、継続的に研究すると言わなかったのか、大いに疑問が残る。しかし、そのあたりの核心部分は聞きだせなかった。

私は思う。結局、国も県も、そうした方向での議論が進むことを望まなかったからであろう。小さな自治体は独立して存続させるよりも、合併させたほうがいい。

本来の地方自治とは、住民の意思が忠実に反映されることによって成り立つ。そのための理想型は極力小さな自治体である。

大川村の問題提起は、国の方針への反旗である。

県は国と自治体の中間に位置する。どちらの立場に立つかで知事のスタンスがわかる。

高知県は、見かけは大川村を支援したように見えるが、結局のところ国の側に立ち、町村総会を開く事態にならないような方向で働きかけ、これ以上議論が広がることを抑止したということであろう。私はそう思う。

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直接民主制

総務省は研究しておく必要があると思います。スイスに先進地視察にいっておくべきでしたね。日本でも確か八丈島と箱根で村議会をおかず直接民主制による村政が行われたことがあったと思います。
プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
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