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ふるさと納税(3)

高知県奈半利町でふるさと納税を担当している職員の不正が3月3日、発覚し、県内だけでなく、全国にも大きく報道された。

ふるさと納税奈半利町

私はこれまでに、ふるさと納税の問題点について、2回書いた。(第1回 2015.12.18、第2回 2016.11.30)。

ふるさと納税は2008年から始まった制度であり、私は当時これの導入にかかわった。その行政経験から、現状この制度は、当初の目的からは変質してしまったので、廃止したほうがいいと書いた。

今回の事件は、制度が変質してしまえば、こういう問題も出てくるだろうと予想したことであった。

奈半利町は、現在人口約3100人の小さな町であるが、この制度ができたころから県下では断トツの寄付額を集めていることで有名であった。この間、四国でもずっと1位。2017年度39億円は全国でも9位であった。(2018年度も37億円)

町の一般税収以上の寄付額を集め、ふるさと納税による町づくり、地域おこしをおこなっていることが、テレビなどでも紹介されていた。

ふるさと納税はその人のふるさとや、縁のある自治体に寄付をするという、善意のこころを前提にしてつくられものだ。そのうえで、寄付をしやすいように、寄付額を税金から控除してやる仕組みにした。

ここまではよかったが、各自治体が寄付を多く集めたいがために、寄付者に対して返礼品という「おみやげ」をつけるようになってからおかしくなった。高額な返礼品をつけることにより、自治体間の寄付争奪戦が始まったのだ。寄付の争奪ということは税金の奪い合いということである。

寄付をするほうも、最初は返礼品などよけいなものはなかったので、純粋な寄付というのが当たり前であったが、返礼品がつくようになると、返礼品狙いが主目的になってしまった。

しかも、その上に、税金も引いてくれるとなると、節税になる上におみやげももらえるということで人気が沸騰。政府公認の節税策を利用しない手はないということになった。

自治体は自治体で、これに乗り遅れると、税収が減る(他の自治体にとられる)ことになることから、必死で寄付を集めなければならない。自治体同士の税金争奪戦はどんどんエスカレートした。

「全国特産品斡旋制度」になったしまったこの制度において、間違いなく得をするのは、寄付者(節税になる)と特産品生産販売者(自治体への納入者)。自分で営業活動をしなくても自治体が販売をしてくれるのだから、ありがたいことだ。人気商品になれば、黙っていても次から次に注文が来る。

今回の事件は、こうしたたくさんの注文を受ける業者に対して、役場担当職員が利益のバックペイを要求したという構図なのだ。

役場職員からすれば、自分が注文をとってやったのだから、要求は当たり前だという感覚だったのだろう。お互いにとって、それだけ「うまい商売」だったということだ。

異動もなくずっと担当をしている役場職員にとっては、それがいつのまにか自分の利権だという思い上がりに陥ってしまったのだろう。

私は「全国特産品斡旋制度」になってしまったこの制度のすべてが悪いというつもりはない。この制度によって生産者は刺激を受け、地場特産品を開発しようという機運が盛り上がり、努力して開発に成功している例も多いことであろう。そうした人には、この制度は頼もしい応援団となっている。

しかし、全国的視点、トータルで見れば、自治体同士が総額では同じ税金を奪い合う構図には変わりないのであり、生産者にとっても「おんぶりだっこ」「他力本願」に頼るよりも、自力で販売する努力をしたほうが自らの血となり肉となり、将来の事業継続・拡大にもつながることであろう。

今回の事件は全国的にみれば、氷山の一角であると思う。まだまだ、これからいろんなことが出てくるとだろう。

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Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
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