市長の公約

 3月23日、香美市長選挙が行なわれた。香美市は8年前、3町村(土佐山田、香北、物部)が合併して誕生。これまで2回の市長選挙は無投票であったが、今回は現職(元土佐山田町長)が引退表明したことから、一転して4人による選挙戦となった。

結果は元市総務課長が当選した。私が注目をしたのは、それぞれの公約である。中山間地を広くかかえ、過疎高齢化、人口減等が進む中で、活路として合併を選択したのは四万十市も同じだからだ。

公約の中で、候補者の1人が、副市長を2人制にすると訴えていたのが目をひいた。内政と外交担当に分け、「国・県・大学・民間との連携強化を図り、チャンスを逃さない柔軟な行政を目指す」と。
 
香美市が町村合併を選択した理由の一つは、他と同様、統一的かつ効率的行政運営を行なうことにあった。合併自治体はどこも、機構の統廃合や職員数の削減等、行政改革を徹底して行なってきた。また、残った職員も官民格差の是正等、国からの強い指導等もあって、給与や退職金の削減等を強いられてきた。この間、一方では、防災対策等、新たな行政課題が増えていることにより、職員一人当たりの業務負荷は相当に増えており、どこもギリギリの人数でがんばっているのが実情である。

こうした中で、特別職である副市長を増やすとは、大胆な公約である。私の場合は4年間、副市長1人でやってきた。内政、外交ともに最終責任者は市長であるが、どちらかと言えば、行政経験豊富な市役所出身副市長に内政を任せ、私は市長でしかできない外交に軸足を置いた。それで十分に対応できたと思っている。

いま、県下で副市長を2人置いているのは高知市(人口34万人)だけ。全国的にみても、四万十市(同3万5千人)、香美市(同2万7千人)ていどの規模の自治体で副市長を2人置いているところはまれである。厳しい地方財政下、2人になれば給与等、相当な負担になる。市長にとっては楽であろうが、それは市民の負担につながる。だから、市民にとっては重要な問題である。

しかし、それぞれの市の実情によっては、これも一つの政策であり、市民に問う公約としては、ありうることだと思う。こうした選択は市民に積極的に問うべきである。結果として、この候補は敗れたが、公約として掲げた姿勢は正しかったと思う。

 こう書いたのは、四万十市では残念なことがあったからだ。

昨年4月の市長選挙において、現市長の公約の中には副市長2人制はなかった。にもかかわらず、就任直後、突然これを発表、ただちに四万十市として初めての2人目の副市長を国土交通省(出向)から迎えた。

また、こんなことも。
現市長の公約の中には「市民病院の24時間救急を復活します」があった。市民病院は、医師の急速な減少に伴い、2007年以降、夜間救急を返上(夜10時までに短縮)していることから、その復活には市民からの切実な願いがある。

私は4年間、そのために努力してきた。何よりも医師を増やさなければならないことから、駆け回って、少しずつ増やしてきた。しかし、まだ足りない。引き続き努力しなければならない。そうした中、現市長も私と同様の公約を出したことから、市民は安心した。

ところが、現市長は就任後最初の6月市議会において、「任期中の24時間救急の復活はむずかしい」と早々と表明。これからがんばってくれると期待していた市民は唖然とした。県や大学とのパイプを通して医師も増やしますとの約束も、この約1年間、果たされないまま。逆に、この間、病院の経営収支は改善してきているにもかかわらず、あえて問題にしている。現市長にとって、公約とは何だったのだろうか。 

 勝ちさえすれば、あとは何でもあり。公約は選挙のためだけ。こうした政治手法は、安倍政権とそっくりである。

昨年後半、あれだけ大もめした特定秘密保護法は、一昨年暮れの総選挙、昨年夏の参議院選挙、いずれにおいても自民党の公約にはなかった。また、いま問題になっている集団的自衛権の憲法解釈変更も、そうだ。

また、原発について、自民党公約では、「すべてのエネルギーの可能性を掘り起こし、社会・経済活動を維持するための電力を確実に確保するとともに、原子力に依存しなくても良い経済・社会構造の確立を目指す」と、「脱原発依存」を全面に出していた。しかし、このほど決めた政府のエネルギー基本政策では、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、その「再稼働をめざす」とまで明言している。

これがプロの政治というものであろうか???
私はこんなプロにはなりたくない。

四万十市は地方自治法に基づく、れっきとした独立自治体である。
決して、国の出先機関ではない。

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
幸徳秋水を顕彰する会事務局長。
FB(フェイスブック)もやっています。

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