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半沢直樹

TBSドラマ「半沢直樹」第2作の放送(全9回)が終わった。

7年前、「倍返し」の言葉が流行語になり、半沢現象といわれるような一種の社会現象になったように、今回も放送前から話題を呼び、前作同様、高い視聴率(最終回は32%)を獲得したようだ。

半沢直樹は銀行マン(東京中央銀行。今の三菱UFJ銀行がモデルだとすぐわかる)。私も都市銀行とは業態が違うが、現役時代、農林中央金庫に勤めていたので、このドラマには興味があり、前作、今作ともに全放送を見た。

結果は大変おもしろく、痛快であった。半沢が銀行内の不正や社会悪に敢然と挑戦する展開は、水戸黄門ばりの痛快時代劇を見るようであり、エンターテイメント性、抜群であった。

しかし、第1作と2作では、私の受け止め方はだいぶ違う。

第1作は、銀行の内情がリアルに描かれていた。原作者の池井戸潤は三菱銀行に勤めていたので(私より10歳若い)、銀行の仕組み、内情を自ら体験しているだけあって、銀行員でしかわからないような、仕事のやりかたの機微にふれた描写は、生々しかった。銀行員しか使わない専門用語も多く出ていた。

私も半沢と同じく、企業融資を結構長く担当していたので、企業との日常的なつきあいの仕方、融資判断から与信管理、回収まで、どこまでが真実で、どこまでが脚色をしているかがよくわかった。

大蔵省検査はMOF検といって、みんな恐れていた。日常業務そっちのけで対応に追われた。私も検査官のヒアリングを受けたことがあるが、ドキドキ冷や冷やだった。幹部、上司ほど緊張をしていた。

過剰に、かつコメデータッチで描かれていたとはいえ、片岡愛之助演ずる黒崎検査官が恐れられていた姿は真実である。

総じて第1作は、銀行の内情が丁寧に描かれていた。

しかし、第2作は、銀行の真実から離れたオーバーアクションが過ぎた。エンターテイメントとしてみるしかなかった。(それでも面白かったが)

前半は半沢が出向している子会社の証券会社(セントラル証券)が舞台で、企業買収(M&A)がテーマであった。

私は原作を1冊も読んだことがないのでわからないが、池井戸が三菱銀行に勤めていた1988~1995年ころには、企業買収案件は銀行でも証券でも、まだそんなに多くはなかったのではないか。だから、この部分は原作から離れたオリジナル脚本ではないかと推察する。

展開が早く、ドラマチック過ぎて、へきえきするぐらい。

後半の帝国航空再建で、政治家と対決するに至っては、刑事物語になってしまった。あんなところまで一介の若い銀行員がかかわることはありえない。

第2作では、歌舞伎の舞台のように設定されている場面が多かった。半沢のまわりにはやたらに人が多く群がっていた。

おそらく、第1作で歌舞伎役者の片岡愛之助を使って、予想外に受け、話題を呼んだので、それに悪乗りして、ドラマ全体を歌舞伎の舞台風に演出したのであろうが、いかにもお芝居という感じで、現実離れしていた。市川猿之助を使ったのも、2匹目のどじょうを狙ったのであろう。

1,2作を通して気になったのは、銀行の内部を描くことはいいとして、人事問題がいたるところに出てきて、銀行員にとっては人事がすべてというふうに描かれていたこと。

サラリーマンにとっては、人事は誰もが気になるところであることはその通りである。しかし、ドラマのテーマが、銀行の社会的役割から、さらに広げて社会的正義にまで大ぶろしきを広げていたのに、核心的な場面でチンケな人事問題が出てくると(瀬戸内海の小島の企業に出向させるゾ~、など)、ガクッとしてしまう。また、出向=左遷と決めつけていたのも笑えた。(出向には「栄転」の出向もたくさんあるのに。)

半沢にしても、第2作では出向先のセントラル証券から論功行賞で銀行本体の戻されるときには、破顔一笑であった。

ドラマの核心テーマと、人事という卑属な問題とのギャップは最終回まで一貫していた。

また、政治の舞台裏が描かれていたが、女性の建設大臣が正義感から老獪な幹事長(自民党二階幹事長を彷彿とさせた)に反旗を翻すという場面は、そんなことはありえない、そらぞらしいお芝居であった。

若い半沢が銀行頭取を託されるというエンデイングは、ことここに極まれり。

第1作はリアルでハラハラドキドキだったけれど、第2作はオーバーアクションの歌舞伎お芝居を客席から見た感じであった。

それでもエンターテイメントと割り切ってみたので、最近のドテレビドラマでは一番楽しめた。

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Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。
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