地方自治 県の役割

 13日、滋賀県知事選挙で自公推薦候補が負けた。

この候補は元経産省官僚であり、国とのパイプの太さをさかんに強調。政府・与党も幹部を投入・支援したが、勝ったのは、現職の嘉田知事が推す、「草の根の自治」を訴えた元民主党代議士。

民主党への支持というより、安倍政権のこの間の強引な政治手法、「おごり」に対する怒り、反発もあったのであろう。痛快。この結果は一地方選挙以上の意味をもっているからだ。

 同じ13日、私は市内西土佐大宮の大宮地域振興協議会若者部会が主催した講演会に参加した。四万十市大宮は戸数135、人口289人、高齢化率約50%、四万十川支流目黒川沿いの愛媛県境、どこにでもある小さな集落だが、いまや、助け合い、支え合いで、「元気な集落」として全国的に有名になった。

「地域を守る」、その多彩な活動の拠点が大宮産業。地域住民が株主の株式会社だ。
廃止になった農協事務所を買い取り、購買店舗(雑貨屋さん)兼ガソリンスタンドにしている。

講演会を企画・リードしたのは、地域おこし協力隊の小脇淳平さん。四万十市が採用した協力隊員は、いま6名まで増えたが、淳平さんは私が市長時代の採用第1号(兵庫県明石市出身)。講演会講師は的場亮氏(37歳)。元関西大手進学塾のカリスマ講師で、いまは「講演家」として各地を飛び回っている。演題は「一瞬の『感動』を人生の『きっかけ』に」。「あこがれ」「あきらめない」「感謝」・・・子供から高齢者まで人間の原点は同じ。ヤル気、本気、感動をもらった。

的場氏の前段には、高知県産業振興部中山間地域対策課長が「高知県の現状について」と題して、過疎高齢化にかかる、県の対策・取り組みを紹介していた。というのも、尾﨑知事は2期目(平成24年度~)にあたり、これまでの高知県産業振興計画をバージョンアップさせるとして、中山間地域の人口減、過疎高齢化対策に相当な意気込みで取り組んでいるからだ。

その目玉が集落活動センター。旧小学校や集会所を拠点に、地域住民が主体となって、生活・福祉・産業・防災などの活動を地域ぐるみで取り組むというもの。かつてはどこの集落にもあたりまえにあった、住民同士の助け合い、支え合いシステムを復活させようというもの。

尾﨑知事第1期目の産業振興計画は、産業育成・新興に重点を置いていた。しかし、それだけでは地域を守れない、もっと事態は深刻であるということに気付いたのであろう。過疎高齢化が進む中山間地域対策と、もう一つ、移住促進対策に重点を絞り込んだのは、的確な判断である思う。

県は集落活動センターを、平成24年度から向こう10年で県下130か所につくる計画で、現在14できている。その一つが、ここ大宮であり、センターの名称は「みやの里」だが、そもそも拠点となっている大宮産業(株)が発足したのは、県の構想よりも早い平成18年。発足の過程で県・市は協力・サポートはしているものの、基本は住民ペースで取り組んだものである。

県が進める集落活動センターはゼロからできるものではない。14センターは、住民の支え合い等の一定の組織と実績があるところを県がピックアップして、拡充させたところばかりである。大宮はその中でもモデル的存在。今回のような講演会を自力でおこなうところがすごい。

そこで、本題の「地方自治 県の役割」である。
滋賀県知事選挙で争点となった、県の「草の根の自治」とはどういうものなのであろうか?

日本の地方自治制度は「地方自治法」で定められているが、その基本は市町村(基礎自治体)であり、都道府県の位置づけは曖昧、中途半端である。すなわち、地方公共団体(都道府県および市町村)は、「地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」とされている中で、都道府県の役割は、「広域にわたるもの」、「市町村への連絡調整にかかるもの」等、限定的に書かれている。

現状をみても、ゴミ収集、水道、消防、国保、生活保護・・・等々、住民の日常生活にかかわる業務のほとんどは市町村がおこなっている。住民は市役所、役場へ行くことは多いが、県庁(または県の出先機関)に出向くことはめったにないであろう。それだけ、市町村は住民の生活に密着しているし、市町村職員は、住民個々の生活の実情の細かい部分まで把握している。

こうした実情をみれば、集落活動センターのような組織の立ち上げは、本来、市町村がリードしなければならないと思う。センターは県下統一規格品でできるものではない。地域ごとに置かれた環境が違うし、何よりも担い手が違うのだから。

高知県では市町村が弱体だから、それができないのか。いや、決してそうではない。市町村との役割分担の議論がないまま、県が一方的に構想を打ち上げ、突っ走る。他の分野も含めて、最近、そうした構図が多くなってきているように思う。

集落活動センターの構想そのものは時宜をえたものである。
県は関係補助制度の整備や国との調整役など外側からのサポートに徹し、センター運営そのものは、当然、住民主体でおこなうなかで、行政窓口は市町村が担うべきである。

行政機能として、県には二つの顔がある。
国向けと、市町村向けと。

知事は、国に対しては県下市町村を代表して(それが調整役)、基礎自治体の自治を守る立場から発言をしてもらいたい。そもそも中央官庁出身の知事だからといって、また政府与党の推薦をうけた知事だからといって、国へのパイプが太いとか小さいとかいう、ことがおかしい。国の予算配分等は、すべて法律によって配分ルールが決められているはずである。

また、知事は、市町村に対しては、それぞれの自治権を尊重し、侵害しないこと。県の関与が大きくなればなるほど、市町村の独自性が失われ、職員も県の顔色ばかり見て、県の指示によってしか動かない組織になってしまう。企画力も失われていく。

知事に、肝に銘じてほしいこと。
「県は国の下請け機関ではない。ましてや、市町村は県の出先ではない。」

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プロフィール

Author:田中全(ぜん)
高知県四万十市(旧中村市)在住。
幡多と中村が自慢のおんちゃん。

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